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木造3階建てが可能性広げる

 木を現しにできるノウハウが浸透してきた準耐火木造だが、一般に普及しているのは主要構造部をパネルで覆う耐火被覆型だ。2000年の性能規定化で道が開かれた耐火木造にも、比較的容易に応用できる。

 「耐火被覆型の設計手法は防火構造、準耐火構造の延長線上にある。設計者、施工者も慣れているので、木材利用の実質的な推進力となっている」と、桜設計集団の安井代表は評する。耐火構造の柱や梁には燃え止まり型や鋼材内蔵型もあるが、大手建設会社が大臣認定を取得するなど戸建て住宅には不向きで、実績も数棟にとどまる。

 工務店のハセベ(東京都荒川区)は木造住宅密集地域を中心に、木造軸組みの3階建てを多く手掛ける。準耐火を基本として、耐火建築物にも対応する。「20坪程度の狭小敷地が多いので、3階建てにしないと十分な間取りにならない」と、同社の山井宏友専務取締役は話す。

 特徴は建て方のスピードだ。自社工場でプレカットした資材を一気に搬入し、1日で3階建てを上棟する〔写真7〕。「道路が狭い敷地でも、手で運んで搬入できる。建て方が1日に集中するので、職人の確保も容易だ」(山井専務)

〔写真7〕自社プレカットでスピード施工
ハセベは木密地域を中心に、木造3階建ての実績を延ばす。自社工場で製作した部材を現場近くまで搬入。車が寄せられない場合でも、木材なら人力で搬入できる。写真は準耐火建築物(写真:安川 千秋)
ハセベは木密地域を中心に、木造3階建ての実績を延ばす。自社工場で製作した部材を現場近くまで搬入。車が寄せられない場合でも、木材なら人力で搬入できる。写真は準耐火建築物(写真:安川 千秋)

 田中工務店(東京都江戸川区)では、幹線道路近くの防火地域で、木造3階建ての耐火建築物に初めて取り組む。8月初旬の完成予定だ。敷地面積は約42m2。日本木造住宅産業協会の大臣認定仕様を使う。

 同社の田中健司代表は、「ボードを重ね張りするので壁が厚くなる。ギリギリの面積で設計しているため、少しの違いでも影響が大きい」と、狭小地ならではの苦労を語る。天井もボード仕上げとなるため、応力が大きな箇所には、高強度の単板積層材を使って梁せいをそろえるなどの工夫をしている〔写真8〕。

〔写真8〕耐火構造ならではの工夫
田中工務店が手掛ける3階建て耐火木造住宅。応力が大きくかかる場所には高強度の単板積層材(LVL)を使って、梁幅や梁せいをそろえた(上)。2階の床下では耐火構造の仕様を満たすため、石こうボードを2枚重ねている(下)(写真:日経アーキテクチュア)
田中工務店が手掛ける3階建て耐火木造住宅。応力が大きくかかる場所には高強度の単板積層材(LVL)を使って、梁幅や梁せいをそろえた(上)。2階の床下では耐火構造の仕様を満たすため、石こうボードを2枚重ねている(下)(写真:日経アーキテクチュア)