単価の上振れに要注意
3つ目は単価のチェックだ。工事費の大部分を占めるのは、人(人件費)と物(材料費)。歩掛かりや単位数量の基準は、国土交通省の「公共建築工事標準歩掛り」や「公共建築工事標準単価積算基準」といった公開情報が基本となる。単価については、「月刊建設物価」や「季刊建築施工単価」(経済調査会刊)などをベースに把握できる。しかし、こうした刊行物の数字は急激な変動を反映しにくい。また一般的な形態の建物を前提としているため、施工の難易度が高い場合や、多くの部材を少しずつ使うような場合、単価は上振れしやすい。現状では刊行物に記載された工事単価より2~3割高くなるリスクを織り込んでおいた方がよい。
4つ目はこれまで精査した結果を踏まえた、バリューエンジニアリング(VE)やコストダウン(CD)の提案だ。VEでは品質を保ちつつ、調達しやすい製品や資材に変更したり、省力化工法を採用したりしてコストの削減を目指す。設計の一部やり直しもできれば効果的だが、そのための検討期間を見込むなど、あらかじめ全体のスケジュールを組む時点で配慮しておきたい。