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図面よりも大切な特記仕様書

 このように実施設計段階に施工者が参画してくると、実施設計や設計図書の在り方が問い直されることになる。

 現状では慣習的に定められた設計図書を用意する感覚で業務を回すのが精いっぱい、という設計者も多いかとは思う。だが一部の設計事務所では、実施設計を効率化して、基本設計やプロジェクトのマネジメントに自社の強みを集約する動きも見られる。今後の流れを見据えると、実施設計図をいかに効率的に、かつ効果的に描くことができるか、という視点が必要となってくる。

 もともと、基本設計図は発注者に、実施設計図は施工者にそれぞれ設計意図を伝えることが大きな目的だ。効率を上げるには、必要最小限の設計図書で、いかに設計意図を正確に伝えられるかが要点となる。

 その際に発注者は、設計図書に含まれる図面それ自体よりも、むしろその上位に位置付けられる要項書や、資産や工事などの管轄を整理した区分表の方を重視する。なぜならこれらに含まれる条項が、建築や電気、設備、内装といった工事責任の範囲を明確に規定し、関係各社の役割分担を位置付けるからだ。前提がしっかりして初めて、図面が意味を持ってくる。

 そして当社では、設計図書と契約書本体との架け橋となるのが、特記仕様書と捉えて重視している〔図2〕。図面よりも後回しになりがちかもしれないが、むしろ先駆けて作成するべきだ。特記仕様書に漏れがあれば、発注者に思わぬ損害を与えることになるかもしれない。

〔図2〕発注者が重視するのは図面より契約
契約上は設計図書より、要項書などが上位に位置付けられる。特記仕様書は、図面の読み方の手引き書であると同時に、上位の書類とリンクする役割を果たす。設計意図を守るためにも丁寧に作成したい(イラスト:ぽむ企画
契約上は設計図書より、要項書などが上位に位置付けられる。特記仕様書は、図面の読み方の手引き書であると同時に、上位の書類とリンクする役割を果たす。設計意図を守るためにも丁寧に作成したい(イラスト:ぽむ企画