価格下落に泣く投資家、チャンスと見る大手デベロッパー

2008/07/14

日経不動産マーケット情報

 「うちの会社って業界でどう見られている?」 ある不動産業界人は最近、会う人会う人にこう聞かれるという。不動産市況が軟調に転じ、企業のリストラや倒産の噂が引きも切らずに流れてくる。不動産業界では信用が第一。自分が所属する会社の評判に、関心を持たざるを得ない状況だ。

 不動産取引の落ち込みはひどいものだ。最近は売買契約を結んでも、決済に至らないケースも多い。「あのビルが売れた」との情報が寄せられてもなかなか登記されず、いつの間にか立ち消えになっていたこともしばしば。ようやく登記処理に入ったのでニュースにしようと待ち構えていたら、差し押さえや競売申し立ての登記でがっかりすることもある。

 こうした状態だから、大都市の優良立地にある大型物件を除いては、価格が下落傾向にある。「売買交渉において、最初からエクイティを無きものとして扱い、あとはローンレンダーにどれくらい回収をあきらめてもらうかの話になることも珍しくない」と、ある不動産関係者は語る。実際、先だって破たんした企業グループが運営していた住宅ファンドでは、価格下落で投資家に損失が発生したとの話も出ている。

 しかし一方で、資金力のある大手デベロッパーはこの時とばかりに、開発用地の確保に余念がない。また価格軟化をチャンスとみて、再び投資に動き出した外資系ファンドもある。不動産の金融商品化によって日本の不動産投資市場にも景気循環ができると言われてきたが、その端緒は見え始めているのかもしれない。

三上 一大日経不動産マーケット情報