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銀座で坪1億円を割り込む取引に苦情? 投資マインドの好転に期待

2009/06/12

 グローバルな不動産サービス会社であるコリアーズ・インターナショナルは5月、「Despite "Green Shoots", Retail Real Estate Faces Huge Challenges」(景気回復の兆しに反し、店舗不動産は試練に直面)というニュースを発信した。このなかで、STREETS OF GOLD なるデータを公表している。世界の主要ショッピングストリートの店舗賃料をランキング形式でまとめたものだ。

 1位はニューヨークのフィフス・アベニュー(五番街)。2009年の賃料は1坪あたり月額40万7000円だ(1ドル=98円で換算)。1年前から15%低下した。2位はパリのシャンゼリゼで25万円。以下、ニューヨークのマディソン・アベニュー(21万8000円)、ロンドンのボンド・ストリート(21万1000円)と続き、軒並み賃料が下落した。こうしたなか、銀座の中央通りは1年前よりも2.4%の上昇となる20万2000円で、5位にランクされた。

 しかし現時点において、銀座で起きていることは、高級ブランド店が出店を取りやめ、低価格アパレル店が増加するといったデフレの動きだ。飲食店の撤退も相次いでいる。中央通りといえども、賃料が上昇しているとはにわかには信じがたい。ここ1年半は円高が進んだことから、この賃料上昇には為替マジックが隠れていそうだ。実際、小誌がこのたび掲載を始めた店舗賃料調査では、2009年1月-3月期の銀座エリアの平均募集価格は、1年前の8割程度の水準に落ち込んでいる。

 取引もさえない。銀座の中央通りといえば土地1坪あたりの取引価格が1億円を優に超え、一時期は2億円を超える売り値が付けられた一等地だ。これまで多額の投資マネーが注ぎ込まれてきた。今年に入って中央通り沿いにある某ビルの取引が成立したが、価格は1億円を大きく割り込んだと噂されている。近隣に商業ビルを保有する大手投資会社が「悪しき取引事例を作るな」と不快感を表した、などという話まで飛び出すほどだ。

 とはいえ、こうした状況が数年も続くとは考えにくい。取材で投資会社を回っていると、投資のタイミングを虎視眈々とうかがうファンドは多い。日本での投資機会を模索するために、昨年末から今年にかけて米系のファンド運用会社数社が東京に拠点を設けたとの話があるし、日本の大手不動産会社や大手証券会社も1000億円を超える規模の新ファンドを立ち上げた。ある外資系アセットマネジメント会社は、「投資すべき資金はあるものの、ローンが調達できない。エクイティとしてではなく、メザニンローンなどのデット側から投資する手段も考えていく」と話す。

 世界的にも投資拡大に向けた芽が徐々に出始めている。最近では原油価格や株価の上昇が話題になった。各国政府が経済対策で市場へのマネー供給を進めていることから、かつて投資市場に熱狂をもたらした過剰流動性が再び生じつつあるとの観測も浮上している。グローバルな不動産サービスを展開するDTZが5月にまとめた「Global Investors Intentions Survey」では、不動産の投資残高を増やす意向を持つ投資家の割合が、2009年の45%から、2010年には70%に増加するとの調査結果を明らかにしている。

 賃貸市況、金融市場ともに厳しい状態が続いている日本は、少なくとも2009年に関しては不動産価格の調整局面が続くだろう。しかしGDPが上向くとみられる2010年には、銀座をはじめ、日本各地の不動産投資市場が回復に転じることを期待したい。

三上 一大日経不動産マーケット情報

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