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【MIPIM】83カ国が参加、展示会場は都市間競争を映す鏡に

2012/03/14

 毎年、大がかりで華やかな展示が話題となるMIPIM。映画祭のレッドカーペットで知られる会場のパレ・デ・フェスティバルは、風光明媚なヨットハーバーに面した4階建ての建物だ。広大な迷路を思わせる本館地下1階の展示会場と、まぶしい太陽が差し込む別棟、屋外テントを合わせた展示面積は今年1万9000m2(会場総面積4万6000m2)に拡大。台湾、アルゼンチンなどからの初参加組も含めて、世界83カ国から集った各都市代表やデベロッパーのブースがひしめく。

 モスクワ、ローマ、リヨンなどの大型パビリオンでは市長自らがイベントや会見で最新の開発プロジェクトをプレゼンするとともに、お国自慢の料理や酒を来場者に振る舞い集客合戦を繰り広げた。なかでも、今年のMIPIMで主賓国(Country of honour)に選ばれたドイツの各都市のブースは、例年以上の活気を見せた。

5月の映画祭でも知られるパレ・デ・フェスティバルの全景(写真:MIPIM)

来客でにぎわうミュンヘン市のブース。2011年、ドイツ国内の不動産取引は20%増を記録した(写真:MIPIM)

 本館の周辺の敷地には、欧州各都市の個性あふれる大型テント・パビリオンが開設された。最大のパリ・パビリオンでは今年「ル・グラン・パリ」を標語に、フランス政府のMaurice Leroy都市担当大臣が総延長140kmに及ぶパリ周辺の地下鉄延長計画を発表し、関心を集めた。また隣には、今夏にオリンピック開催を控える英ロンドンのパビリオンが陣取り、会場跡地での住宅開発計画などをアピールした。

 東欧圏からは、経済が好調なポーランド・ワルシャワ市当局が参加し、ブースはにぎわいをみせた。注目の新顔はロシアのシリコンバレーをめざす、モスクワ郊外の新都市計画Skolkovo(スコルコボ)のパビリオンだ。会場には妹島和世氏、David Chipperfield氏、Herzog & de Meuron(ヘルツォーク&ド・ムーロン)のPierre de Meuron氏など、同地区の大型プロジェクトに参画している建築家が集まった。またロシア黒海沿岸からは、2014年冬季オリンピック開催地ソチのあるクラスノダール地方やロストフ地方のパビリオンが出展し、昨年と変わらない存在感を示した。

 中東からは、政府系ファンドを通じた欧米不動産への投資でも知られるカタールが参加。今年は2階建ての優美なパビリオンを会場外に開設し、首都ドーハの都市計画を紹介するカタール・アーバン・フォーラムを連日開催した。

パリ市は地下鉄延長を核とした都市計画をアピール(写真:MIPIM)

ロンドンでは複数の大型オフィスビル開発が進む(写真:篠田 香子)

カタールは2階建ての大型テント・パピリオンを構えた(写真:本間 純)

ロシアのロストフ地方は今年も凝った展示でお出迎え。2年前の展示はこちら(写真:本間 純)



グリーンビルは実装フェーズへ

 時流を捉えたテーマごとに多数の企業を集積した、特別展示ゾーンが拡大したのも今年の特徴だ。サステイナブル技術を展示する「ビルディング・イノベーション」のセクションには独Siemens(シーメンス)を筆頭に大小のハイテク企業が参加した。ここ数年のMIPIMと同様、サステイナビリティを意識したグリーン系のブースが多く見受けられたが、今年は単なるムードの演出にとどまらず、設計や部材などの面で具体的な技術の展示が多くなったのを感じる。また、ホテル・ラウンジと名づけられたセクションは、昨年100億ドル規模に達したヨーロッパのホテル不動産投資の好調ぶりを反映してにぎわった。

 他方、クッションの効いた座席と映画上映用の大型スクリーンを備えたパレ・デ・フェスティバル上層階のホールでは、公式プログラムに載っているだけで60以上のパネルディスカッションが開催された。各展示ブースや近隣ホテルでのプライベート発表会を加えると、その数は優に100を超える。こうした会議イベントの充実が近年のMIPIMの傾向だ。全体の参加人数が増えているにも関わらず展示会場の通路に余裕が感じられるのは、会議に参加する人が増えているためだろう。

別館の展示会場の様子。赤い牛はスイスのトレードマーク(写真:本間 純)

本会場内の会議ホールに通じる通路に緑があふれる(写真:本間 純)

映画上映にも対応する大会議場には満員の参加者(写真:MIPIM)

篠田 香子=フリーライター日経不動産マーケット情報

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