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 7月28日号の巻頭記事は「英国EU離脱、建築界への影響」です。6月24日(日本時間)に英国が欧州連合(EU)からの離脱を決定してから約1カ月。その決断により建築界にどんな影響が及ぶのか、内外の関係者に取材しました。

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 国民投票でEU離脱を決めた英国では、若い世代を中心に「再投票」を求める声が高まっています。離脱に投票した人のなかにも、残留支持に考えを改めた人が少なくないようです。実際に再投票が実施されるのは難しい情勢のようですが、この騒動を通して改めて考えさせられるのは、「大きな変革の先にある未来をリアルに想像すること」の難しさです。

 離脱に投票して後悔している人も、投票時になんとなく離脱に投じたわけではないでしょう。「EUへの拠出金が福祉に回せる」「移民が制限できるようになり失業率が改善される」といった、その人にとってのプラス材料に基づいて判断したものと思います。けれども、実際に離脱の決定が決まった後に、さまざまなマイナス要因が一斉に報じられ、一体どんな変化が起こるのか分からなくなり、困惑しているのでしょう。

 「英国EU離脱、建築界への影響」も、建築界にとって○か×かという単純な話ではありません。この記事では、「Q1.英国建築界への影響は?」「Q2.現地進出企業の反応は?」「Q3.日本国内での影響は?」という3つのテーマに分けて、英国を拠点とする設計事務所、英国に進出している日本のデベロッパーや設計事務所、都市問題や建設コストの専門家に取材しました。

 変革の先にある未来をリアルに想像することの難しさ──。それは今号の特集を構成するうえでの課題でもありました。

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 前号と今号では創刊40周年記念特集「五輪後のキーテクノロジー」と銘打ち、コンピューターや機械の進歩が10年後の建築界に与える影響を予測ました。今号はその後編、「リスクを商機に」です。

 創刊40周年記念特集として「技術の未来」を描こう──。そのことは年初から決めていました。技術の未来を描くには、その前提として現在の最先端技術と潜在ニーズを取材することになります。そこから予見できる未来技術を淡々と書く手法もあったでしょう。ですが、取材を進めるなかで、今回は「仮想の物語」の形を採ることにしました。

 客観的事実を重視する日経らしくない。なぜそんな書き方にしたのか。長年の読者の方からはそうした声も聞こえてきそうです。

 物語形式を採ることを決めたときにははっきり言語化できていませんでしたが、先の「英国EU離脱」の記事を読むなかで、「日常」を描くことの重要性を直感的に選択したのだと気付きました。技術の進歩を描くだけでは一面的にすぎず、実務者が想像すべきなのは、それらが複合的に作用した結果の「日常」なのです。

 もちろん各ストーリーは単なる空想ではなく、エピソードの根拠は、ページ下段の囲みの中で具体的に示しています。

 後編の今号は、地震や地球温暖化、多発するテロなど、高まるリスクに10年後の建築実務者たちがどう取り組んでいるかを4つの物語にまとめました。通常、特集記事は日経アーキテクチュア購読者限定ですが、第1話の「防災編」のみ期間限定で日経アーキテクチュア・ウェブ会員にも公開しますので、ぜひご覧ください。