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レベル3を「想定」する

 次に、設計用入力地震動における違いがある。

 日本の法規では、再現期間約50年を想定した「稀に発生する地震」(レベル1、供用期間50年の間で起こる確率63.6%)、および再現期間約500年を想定した「極めて稀に発生する地震」(レベル2、供用期間50年の間で起こる確率10.0%)に対する検討が求められており、免震構造を採用した建物においても当然これらの地震を検討対象とする。

 東日本大震災以降、長周期地震動や南海トラフの巨大地震(三連動地震)といった、既存の法規でカバーし切れていない地震動に対する検討の必要性を唱える声が強まっているものの、未だ全国で足並みを揃えて検討の義務付けを行う、というところまでは至っていない。

 一方、米国の法規(ASCE7-10)では、免震層上部・免震層下部の構造体については、日本と同様、再現期間43年を想定したService Level Earthquake(SLE、レベル1)、および再現期間475年を想定したDesign Basis Earthquake(DBE、レベル2)に対する検討のみでOKとされているが、免震装置サイズおよび免震クリアランスの設定においては、再現期間2475年を想定したMaximum Considered Earthquake(MCE、レベル3、供用期間50年の間で起こる確率2.0%)に対する検討を要求している。このプロジェクトにおいても、免震装置および地下構造はMCEに対して設計を行った。

 これは、免震構造を採用するくらい重要度の高い建物であれば、仮に50年間の供用期間で2%しか起こらない地震であっても、「想定外でした」で済ませてはいけない、という設計思想の表れでもあると言える。

 設計用応答スペクトルの大小もあり、単純に日本で米国と同様のレベル3地震動を導入できないことは百も承知ではあるが、設計思想としてどこまでを自分の「想定内」にするのかは非常に重要であろう。