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WELL認証では何が評価されるのか

 この流れをくんだ認証制度がある。WELL標準(WELL Building Standard)と呼ばれる102項目の要求事項から成るWELL認証(WELL Certification)である。その達成度に応じて、シルバー、ゴールド、プラチナの3段階がある。

 基本コンセプトは、「空気」「水」「栄養」「光」「フィットネス」「快適性」「心」の7つ。単なる体の健康だけでなく、ウェルネス――ここでは幸福感というような意味を含む心の健康を含めた指標となっている。指標は、建築学と医学の7年にも及ぶ研究結果をもとに開発したもので、科学的な根拠に基づいている。

WELLのコンセプトは7つ。様々な研究結果に基づいており、導入のメリットが数値化しやすいとも言われている。「暑すぎると労働生産性が4%低下する」など(資料:Delos,Arup)
WELLのコンセプトは7つ。様々な研究結果に基づいており、導入のメリットが数値化しやすいとも言われている。「暑すぎると労働生産性が4%低下する」など(資料:Delos,Arup)
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 例えば、以下のような要求事項がある。

  • ・飲料水の給水ポイントを、居室スペースから30m以内に1カ所設置する
    →砂糖の入った清涼飲料水の摂取を控え、脱水症状などを予防する

  • ・カフェテリアがある場合、野菜料理は食品提供ラインの最初の場所に置く
    →野菜や果実の摂取を促進し、成人病を予防する

  • ・決められた時間に建物内の全従業員の25%以上が利用できるテーブルとイスを用意。それらは使用者の90%以上の人から60m以内の場所に設ける
    →会話しながら食事を楽しむことによって、過食を防ぎ、社会的なつながりの欠如からくるストレスを軽減する

  • ・ワークステーションの75%以上で、光の受容感度を加味した明るさを、1日平均4時間以上確保する
    →体内時計を正常にし、睡眠と覚醒のリズムを整える

  • ・運動ジムなどに半年で50回以上通った従業員へ、コストの一部払い戻しや報奨金を提供する
    →身体と精神的な健康を増進する

  • ・バイオフィリア(生物愛)を取り入れた室内環境の整備。パターンや採光などに配慮する
    →自然の景観やイメージに触れることによって、疲労回復のスピードを早める

  • ・長期出張の場合には、その期間中に休んで家族や友人に会いに行く交通費を提供する
    →出張によるストレスを軽減する

 このように、建築のハード面だけでなく、ソフト面までを網羅している。いわゆる午前9時~午後5時の業務時間以外の行動にも影響を与える、総合的な標準となっている。

 いくつかの要求事項(特に空気質関連)は、LEEDやLBCなどの環境評価制度と同様の評価項目もあり、相互に機能するようになっている。なお、WELL認証の第三者評価は、LEEDと同じGBCI(グリーンビルディング認証機関)が、WELL標準の管理者であるIWBI(International WELL Building Institute)と協働して行う。