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標準の図面・仕様の公開始まる
明快なコスト検証も必要

小原:S造やRC造を中心にしてきた設計者が、木造に取り組もうとするとき、最も高いハードルは何ですか?

海老澤:私たちの場合、そもそもどのような部材があるのか分からない、樹種すらよく分からないところからのスタートでした。その意味でも、規格化された部材を使うのが、最も入りやすいでしょう。部材の強度やヤング係数などが分かれば、構造設計者も解析ができます。また、接合部についても、規格のようなものがまとまってくると、より取り組みやすくなると思います。

稲山:接合部については、私が代表理事を務める中大規模木造プレカット技術協会(PWA)のウェブサイトで、誰でも無料でダウンロードできる図面や仕様を掲載しているので、ぜひ活用してください。

小原:今後、低層非住宅分野で木造が普及するための課題や解決策をお願いします。

柳瀬: 私からは2点あります。1つは、木を使う良さについてです。誰でも、その意味を雰囲気としては分かっていますが、定量的に示す方法がありません。その辺りを明確化し、共有していくことが大切だと思います。

 もう1つはコストです。工事費の見積もりを取ると、たいてい木造は高く出てきますが、理由を聞くと、「分からないから」と言われます。何が分からないのかを1つずつ洗い出して検証し、明快にコストが積み上げられるような環境をつくる必要があると思います。

遠藤:部材の調達供給を手掛ける当社として、設計者の方々にいつもお願いしているのは、設計の初期段階からの相談です。地域材の利用を含め、木造の普及を図るためには、設計から部材の調達、加工、そして施工までの流れを1つのストーリーに乗せて、関係者が密に連携して進めていくことがとても重要になります。

稲山:確かに、部材調達とコストは大きな問題です。それだけに、まずはコストの分かりやすい一般流通材を使って取り組むといいでしょう。

 木造にとって厳しい問題の1つに、防耐火の規制がありますが、床面積を1000m2以下ごとに区画していけば、一般的な木造でつくることもできます。

 構造計算も、できるだけ耐力壁形式の在来軸組みにして、すでに普及している許容応力度計算ソフトで設計できるようにするといいでしょう。

小原:各種データや標準図面なども公開され始めています。そうした情報を駆使したり、いろいろな人たちと連携したりしながら、多くの設計者の方々に木造に取り組んでほしいと思います。

(撮影:渡辺 慎一郎)
(撮影:渡辺 慎一郎)
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