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適材適所の材料・工法で
明快な構造計画を練る

小原:中高層の木造化に適した材料や工法はありますか?

小林:超高層建築の場合、建物の骨格となる主架構「メガトラス」と、それに付随する一般部の架構を明確に分けて構造計画を考えていきます。同じことが、中大規模の高層木造にも当てはまり、材料や構工法を適材適所で組み合わせて計画する必要があります。

中島:CLTで言えば、各地で様々な使い方が提案されている段階です。CLTの特徴である大判サイズを床や壁に生かす例もあれば、他の部材と組み合わせる例もあります。いろいろと挑戦するなかで、少しずつ合理的な使い方が見出されていくのだろうと考えています。

小原:中高層木造の課題と解決策をひと言ずつお願いします。

柳瀬:コスト負担の大きい耐火試験をクリアする制度自体が合理化されれば、より多くの人たちがチャレンジできるようになるのではないでしょうか。

 また、コスト抑制や施工の合理化には部材のユニット化が有効ですが、日本の道路事情などでは限界があります。先行する海外事例も参照し、解決策を探ることも大切だと思います。

海老澤:現状では、地震力はS造やRC造に負担させて、それ以外の部分を木造化するのがベストだと思います。

 耐火性能の規定については、現状のように、一律に階数で要求性能を区分するのではなく、避難安全検証やスプリンクラー設備なども考慮に入れられる柔軟な運用になると、中高層木造に取り組みやすくなるように思います。

小林:課題として挙げられるのは、周辺技術の拡充です。混構造で中高層木造を計算する際にポイントとなる接合部の構造や耐火に関する検証と知見の積み重ねが重要です。

 また、安全を確保しつつ、自由な発想で木造建築をつくることのできる柔軟な法制度の整備も必要だと思います。さらに、中高層の木造に対する社会の不安を払拭するエビデンスの整備と、それを理解してもらえる社会的な環境整備も大切です。

中島:日本CLT協会では今、中層建物の標準設計の整備や、2時間耐火の認定取得などに取り組んでいます。私たちがベースラインを示して利用を促し、普及を図っていくことが重要だと考えています。

小原:中高層木造の取り組みはまだ始まったばかりですが、みなさんも木造で新しい建築や社会を変えていくくらいの意気込みを持ってチャレンジしてくれればと思います。

(撮影:渡辺 慎一郎)
(撮影:渡辺 慎一郎)
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