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日経BPインフラ研究所の主催で2015年6月から開催してきた「中高層建築への木材利用促進の可能性について検討する研究会」は、技術面、投資面からみた木材利用の可能性と課題について専門家から最新の情報提供を受け、検討を進めてきた。回を重ねるなかで、委員から「木材利用の最新動向の事例も見ておきたい」という要望があり、9月中旬、東京都心部で半日かけて「木造・木質化建築物見学ツアー」を行った。

 東京都中央区京橋、東京メトロ銀座線の京橋駅の改札から直結する「相互館110タワー」の1~3階に「イトーキ東京イノベーションセンター SYNQA(シンカ)」(以下、SYNQA)はある。

 SYNQAは2012年11月、イトーキが、もっと柔軟で発展性のある「流動・外知交流型」のオフィス空間の提案を行うことをコンセプトに設けた施設だ。この日は、研究会の委員・オブザーバーをはじめ約10人でSYNQAを訪れた。

 まずは、2階の交流空間「Team Lab」のプロジェクトルームにおいて、イトーキの「木づかい」への取り組みについて、営業本部ソリューション開発統括部Ecoソリューション企画推進部 Econifa(エコニファ)開発推進室の脇阪健太郎氏から説明を聞いた。

SYNQAの2階、Team labのプロジェクトルームにて説明を受ける(写真:村島 正彦)
SYNQAの2階、Team labのプロジェクトルームにて説明を受ける(写真:村島 正彦)
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 脇阪氏は「イトーキは基本的にはスチール家具メーカーです」と断ったうえで、「日本の森林資源の活用という社会的な要請、また、企業活動においても環境貢献や、そこで働くオフィスワーカーの職場環境の向上という二つの側面から、木が見直されるようになってきた。こうした要請に対応するために、スチールと木を組み合わせた家具によるクリエイティビティーの高いオフィス空間の開発・普及に取り組んでいる」と話した。

 その具体的なソリューションとして「日本の豊かな森から生まれる地域材を活用してデザイン性の高い家具や内装として製品化し、オフィスや都市部の空間に取り入れることを提案している」という。同社はこれらの製品群を「Econifa(エコニファ)」と命名して商品開発を行っている。林業振興の面から、林野庁や自治体から補助金を受けて、行政、林業に関わる産業界と同社が協働して山と街をつなぐ取り組みを2010(平成22)年から行ってきた。

 2012(平成24)年には、山梨県において「やまなし水源地ブランド推進協議会」という産官民による活動に参加し、水源地の3町村で生産される木材を利用した商品を開発・生産し、街での販売まで一気通貫して関わりを持った。

 2014(平成26)年度には、千葉県産材で成田空港の出発コンコースに配置するラウンジチェアなどの商品開発に取り組んだ。それ以外にもこれまで、宮城県、東京都、静岡県、石川県下の地方自治体と協働してきたという。

 商品開発については、川下である事業者や消費者の木の商品に求める志向を考慮したうえで、「売れる商品」「安全に使える商品」「メッセージ性の高い商品」という点に留意している。