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接着剤の種類と特性

 次に「接着剤」について考えてみる。

 化学面からみた接着剤は私の専門ではないが、接着剤にはいろいろな種類があり、大きく天然物系と合成樹脂系の2つに分けられる。

 天然物系の接着剤は、合成樹脂が生まれる前に使っていた。天然物系の接着剤を使った集成材建物がいまでも供用されている例がある。

 現在構造用木質材料の製造に使われている接着剤は天然物系ではなく、熱硬化性の合成樹脂系接着剤だ。

【接着剤】
接着剤の種類
接着剤の系統 種類 用途
合成樹脂系
熱や水分に対して比較的安定している
熱硬化性樹脂 レゾルシノール系(RF、PRF) 集成材、CLT
フェノール(PF) 合板、LVL、PSL
(集成材、CLT)
メラミン(MF)
メラミンユリア(MUF)
ユリア(UF)
エポキシ(EP) 接合部
水性高分子イソシアネート系(API、EPI) 集成材、CLT
一液型ウレタン(1C-PUR) 欧州CLT
ポリメリックMDI OSB、LSL
熱可塑性樹脂
熱と水分を同時に受けた場合軟化する
ポリ酢酸ビニル(PVAc) 木工一般
天然物系
通常の環境では性能を維持できる
カゼイン かつて集成材
にかわ 楽器
現時点でJAS規格等に規定されている接着剤の性能は高い
(資料:宮武敦氏の資料を基に編集部が作成)

合成樹脂系接着剤の特徴

 熱硬化性樹脂は集成材などに使われる。

 まずレゾルシノール系(RF、PRF)の接着剤がある。これは集成材やCLTなどに使われる。非常に耐久性が高いと評価されている接着剤だ。

 次がフェノール(PF)、メラミン(MF)、メラミンユリア(MUF)、ユリア(UF)であり、これらは100~120度の高温にしないと固まらない接着剤だ。合板やLVL、PSLなどに使われる。場合によっては集成材やCLT用ラミナのたて継ぎでも使っている。

 以上の接着剤を使った木質材はホルムアルデヒドの放散に代表される室内空気質の話が問題になって規制も厳しくなったが、いまは「☆☆☆☆(フォースター)」のように非常に放散量の少ない材料を供給している。

 エポキシ(EP)は、木材そのものを貼り合わせるときに使う例は少なく、木材の接合部に使われることがある。こちらはVOC(低温度で揮発する有機化合物成分)があるのではないかという話がある。

 水性高分子イソシアネート系の接着剤(API、EPI)はホルムアルデヒドを一切出しませんというので、集成材、CLTなどによく使われている。これは1970年頃に日本で開発された接着剤で、特許が切れた現在では、集成材などにはほとんどこれが使われている。

 ただ、ホルムアルデヒドやVOCは接着剤が硬化してしまえば発散しない。製造する工場のほうでは扱いに気を付けないといけない部分はあるが、一般的に私たちの身の回りにある硬化した状態であれば問題ないのではないかと考えている。

 一液型ウレタン(1C-PUR)は、ヨーロッパにおけるCLTで使われていることをご存知の方も多いと思う。CLTは一液型ウレタンと切っても切れないとヨーロッパの方は言われるが、日本ではあまり実績がない。

 ポリメリックMDIは、面材料のOSBやLSLなどの材料を作るときにスプレーで噴霧して熱圧して固める接着剤だ。

 ここまで解説した熱硬化性樹脂の接着剤は、熱や水分に対して比較的安定しており、構造材として使われる木質部材で利用される接着剤だ。

 一方の熱可塑性樹脂は普通の状態だと結構強いが、熱と水分を同時に受けると軟化してしまう性質がある。ポリ酢酸ビニル(PVAc)が代表で、DIYのお店でも売っている木工用ボンドがそれである。