世界的に活躍する建築家の隈研吾氏は、早くから木材に着目し、その魅力を伝える作品を数多く生み出してきた。環境意識が高まるなか、最近では国産材の活用を要望する企業や建物オーナーが増えてきたという。木材を使う意味と、その魅力や可能性ついて語ってもらった。
―都会から地方まで、あるいは商業施設から公共施設まで、隈さんは国産の木材を使った建物を数多く設計されています。どのような経緯で、木を使うことが多いのですか。
隈 ここ数年、設計の依頼に来る時点で、クライアントが木を使いたいと考えているケースが明らかに増えています。例えば、東京・南青山の菓子店、SunnyHills at Minami-Aoyama(2014年)では、オーナーと初めて会った日に、木を生かした建物を設計して欲しいという依頼を受けました。
一方で、木を使う設計提案が、評価されるケースもあります。設計コンペで他社と競った浅草文化観光センター(12年)では、浅草のシンボルである雷門の正面に建てる建物に、木材を多用する提案が評価されて、私たちの事務所が設計者に選ばれました。