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木材活用フォーラム2015のセミナープログラム午後の部は、東海大学教授の杉本洋文氏による講演から始まった。計画・環境建築代表で建築家でもある同氏は、自ら手掛けた木造建築の事例などを見せつつ、木材の特性と活用の手法を手際よく紹介していった。当日の杉本氏の講演の概要をレポートする。

(写真:細谷 陽二郎)
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建築家・東海大学教授 杉本 洋文氏(写真:細谷 陽二郎)
建築家・東海大学教授 杉本 洋文氏(写真:細谷 陽二郎)
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 「木材は生鮮品だ。素材ごとに異なった持ち味がある。私は常に、木材は捌(さば)くという心構えで扱っている」

 30年近く木造建築に取り組んできたという杉本氏は、このように話し始めた。木材は設計者の知識と経験が問われる素材である、というのが持論だ。

 杉本氏によると、欧米では木材に関して豊富なデータベースがあり、必要な木材を容易に手に入れられる仕組みが出来ているが、日本ではそのような仕組みは整備されていないという。また、プレカット技術も住宅用が主体とされているため、規格を超えるような規模の大きな建築には応じられない例が多いという。近年、形状・断面を自由自在に加工できる三次元加工機もドイツから入ってきているが、数は少なく未だに貴重な存在だそうだ。

 こうした制約があるため、日本における非住宅分野での木材活用は、「現時点では、まさに設計者の知識と技術にかかっている」と杉本氏は強調する。

 「木材の強みは、軽くて強いこと、そして一般的にコストが抑制できる可能性が高いことだ。私が設計した木造建築物の平均コストは坪当たり90万円程度であり、最もローコスト化を進めたものでは坪当たり60万円という例もある」(杉本氏)という。