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 2006年末に高架化されたJR九州の日向市駅は、いまや町の顔であり、地元の誇りであり、そしてまちづくりのシンボルである。高架上のプラットホームは、地元のスギ集成材が支える幅18mの大屋根に覆われている。スギ材を使った空間は、階下のコンコースから駅前広場にかけて続く。

プラットホームの頭上には、幅18mの大屋根を支えるスギ集成材の梁の列が続く(写真:吉田 誠)
プラットホームの頭上には、幅18mの大屋根を支えるスギ集成材の梁の列が続く(写真:吉田 誠)
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 高架化に伴う駅舎の新築に地域材を活用できないかという思いは、地元から湧き上がった。具体的な検討は、宮崎県と日向市、JR九州、学識経験者などが98年に設置したデザイン検討委員会を中心に進められた。その過程では、地元市民や各方面の専門家などを巻き込み、議論を活性化させた。

駅コンコースから駅前広場まで統一したデザインで、地元のスギを使った空間が連続する(写真:吉田 誠)
駅コンコースから駅前広場まで統一したデザインで、地元のスギを使った空間が連続する(写真:吉田 誠)
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 成果は、地域材を活用した駅の実現にとどまらない。駅づくりのプロセスで、地元には様々なまちづくりの活動が芽生え、今につながる。町の駅は、列車だけでなく、地域再生の起点にもなり得ることを示唆する事例だ。

駅の外からも大屋根を受ける木の梁が見える(写真:吉田 誠)
駅の外からも大屋根を受ける木の梁が見える(写真:吉田 誠)
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DATA

  • 所在地:宮崎県日向市
  • 建築主:九州旅客鉄道
  • 主用途:鉄道駅
  • 構造:鉄骨造+木造
  • 階数:地上2階
  • 延べ面積:860.96m2(駅舎のみ)
  • 設計者:内藤廣建築設計事務所、九州旅客鉄道、交建設計
  • 施工者:九鉄工業(駅舎、東口キャノピー)、吉原建設・協栄建設JV(西口キャノピー)、東亜建設工業(高架下施設)
  • 完成:2008年2月
  • 主な使用木材
    • [内装・家具]コンコース天井・キャノピー:スギ(宮崎県産)
    • [構造]プラットホーム天井梁:スギ集成材(宮崎県産)

企業に広がる 都市の木づかい

  • 定価:本体2,200円+税
  • 国土緑化推進機構/日本プロジェクト産業協議会(JAPIC) 監修
  • 日経アーキテクチュア 企画
  • A4判、104ページ
  • ISBN:978-4-8222-0044-2
  • 商品番号:239910
  • 発行日:2015年4月13日