外資系企業のテナントニーズ

――今後、認証をどう使い分けますか。

 外資系企業には、LEED認証済みのビルに入りたいといったニーズもあります。その企業が独自にLEEDの内装部門を新たに取得するケースも多く、内装だけでなく躯体も評価の対象になるため、躯体もある程度のスペックを満たしておかなくてはなりません。なので、認証を取得しやすいスペックの整備も課題です。

 私は日本の省エネ技術は世界に誇れるものだと思っていますが、外国の基準に合わせると、点数が上がらないことが得てして起こります。例えば米国のLEEDのエネルギーシミュレーションを、日本の最高水準スペックで計算しても、点数があまり芳しくないと聞きます。

 最近、社内で「世界標準とは何なのか?」ということを議論しています。外国の指標をそのまま用いると違和感を覚えることもありますので、我々が目指す「環境都市」と合致しているのか、様子を見ながらやっていくべきだと考えています。

――テナント側の認識はどうですか。

 森ビルは省エネを社会的責任(CSR)活動の一環として取り組んでいく意思はあるものの、これを長続きさせ、広めていくにはテナント側のメリットも重要になります。

 省エネで電気代が安くなっても、賃料との比較だと微々たるもの。省エネ性能が高いからといって賃料を上げるのは難しいですし、設備機器のスペックを上げても、その分を回収できるのか、という問題もあります。景気が悪化すれば、「賃料はとにかく安く」となってしまいます。

 もちろん、環境に意識の高いテナントも多いです。例えば、気温が一定以上になると、自動的に空調を制御して消費電力をピークカットするなどのデマンドレスポンス実証実験を行った時、テナントにも協力してもらいました。何らかの形で、入居後に省エネへの協力を仰いでいく方法もあるのではないかと思っています。

東京23区におけるテナントのニーズ調査(資料:森ビル)
東京23区におけるテナントのニーズ調査(資料:森ビル)
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