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普及には行政自らも参加を

――課題はどこにありますか。

 認証を取得するために必要な一次エネルギー計算が、既存ビルにとっては重荷です。一次エネルギー計算には1m2あたり100円程度の費用がかかります。国土交通省ではこの費用に対して3分の1以上の補助金を設定していますが、やはりハードルの高さは否めません。

 東京23区を対象に新基準のビルがオフィスビル全体に占める割合を試算したところ、2020年までのストックでも全体の約7.6%にしかすぎません。数を増やすためには既存ビルの参加が不可欠です。そのためには旧基準のビルを一定のルールの下に読み替えていくことも1つの選択肢だと考えます。

 新しいBELSでは一次エネルギー消費量を表示することが望ましいとされており、こうした読み替えは本来の趣旨からは若干それるのかもしれませんが、まずは認証制度自体を広め、制度やエネルギー消費量について関心を高めてもらうことが重要だと思うのです。

――BELSを取得する意思があったとしても、結果的に高いランクが取得できないと公表しにくいと考える事業者も出てきそうです。

 そうした考え方もあるのかもしれませんが、新基準では2つ星以上をとれば十分に省エネ基準を満たしていると判断されますので、どんどんトライしていけばよいと思います。それから民間だけではなくて公共についても、庁舎など既存建物の認証を取得し、ランクに関わらず積極的にエネルギー消費量データなどを公開することで、世の中にベンチマークとなる情報が増えることも普及促進につながるでしょう。

 考えてみると旧耐震基準から新耐震基準へと移行したときも、その違いがテナントも含め不動産市場で認知され、重要事項説明書に記載されるようになるまでには10年近くの時間がかかりました。ですから、BELSについても普及まである程度の時間は必要だと思います。環境不動産の普及を通じて、中小ビルの良好なストックが整備され、そのなかでテナントにもしっかりと支持される、そうした好循環が生み出されることが、さらに日本のオフィス市場を豊かなものにしていくと思います。

吉田淳氏(ザイマックス不動産総合研究所 取締役主幹研究員)(動画:国土交通省補助事業により日建学院制作)