戸建ては基準値を楽々クリア
この仕様を前提に外皮性能(外皮平均熱貫流率UA値【W/m2・K】)を計算すると、結果は0.72となる。平成28年(2016年)省エネ基準において、東京都区部は6地域に当たるので基準値は0.87となり、楽々クリアする。
「0.72というのは仙台市などの4地域(0.75)でもクリアする値。外皮性能に求められる基準レベルはそれほど高くないことが分かる」と住宅性能評価・表示協会基準運用委員会委員長・温熱試験委員会委員長の齋藤卓三さんは説明する。
なお、外皮性能の算出に用いられる、建築研究所の2016年版「住宅・住戸の外皮性能の計算プログラム」は、2013年版よりも外皮性能の平均日射熱取得率(ηA値)の評価がよくなる。2013年版でガラスのみを対象にしていたηA値の評価を、サッシの影響を考慮して評価するように変更したためだ。
この変更により、JISに基づく性能証明書を取得した窓であれば、サッシとガラス一体の性能値を用いることができる。「高性能な窓が正しく評価されるので、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの高性能住宅が設計しやすくなった」と斎藤さんは指摘する。
次に、モデルケースの設備仕様を確認する。仕様のなかで、いわゆる省エネ設備に相当するのはエコジョーズ(高効率ガス給湯機)のみだ。こちらも平均的な仕様といえる。
この外皮性能と設備仕様に基づいて一次エネルギー消費量を算定し、BEIを導くと0.88となる。BEI=設計一次エネルギー消費量(OA機器、家電など分を除く)÷基準一次エネルギー消費量(OA機器、家電など分を除く)。
結果、BELS評価は★★★となる。「断熱仕様を1999年省エネ基準程度にしておけば、★★★は当たり前に取れる。あとはLED照明や高効率エアコンの採用など、設備仕様をアップするほどよい評価となる。★★★★程度なら、それほど難しくない」と斎藤さんは言う。