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★★★★★にはコストの壁

 空調設備や照明の工夫で、★★★★は十分に取得可能だ。では、ワンランク上の★★★★★を得るにはどうすればよいのか。

 「技術的には自然換気など自然エネルギーの利用が考えられるが、いまのところBELS評価の対象外。現状では外皮性能を高めて、一次エネルギー消費量を抑えることになる」と柳井さんは説明する。

 外皮性能を高めるうえでポイントとなるのは、窓の扱いだ。まずは窓を小さくするという手法がある。外皮性能は高まり、空調負荷も下がる。結果、空調機の能力を小さくでき、熱源もコンパクト化できる。それによって、省エネルギー効果の高い小型蓄熱層を設置できる可能性も出てくる。

 とはいえ、実際にはオフィスビルで窓を小さくする計画が採用されることはまれだ。眺望の魅力が損なわれることで、オフィス環境としての評価が下がり、賃料も低くなってしまう。そこで、Low-Eガラスを採用して断熱性能を高めたり、庇を設置して夏季の日射取得を抑えたりすることを検討したい。

 一般的に、オフィスビルの窓面から5m以内を「ペリメーターゾーン」、そこから離れたエリアを「インテリアゾーン」と呼ぶ。両者の温熱環境は大きく異なるため、通常はそれぞれのエリアごとに熱負荷計算をする。

 両者の環境の違いにより、ペリメーターゾーンでは暖房が必要な時期に、インテリアゾーンでは冷房が必要になることがある。これを「混合損失」といい、エネルギー消費量が増加する要因となる。Low-Eガラスの採用や庇の設置などで窓の性能を上げれば、双方の温熱環境を近づけた「ペリメーターレス」の状態をつくることが可能になり、混合損失を回避しやすくなる。

 問題は、ペリメーターレスがかなりのコスト増となることだ。そのため採用例は少ない。特に中規模以上のオフィスビルは外装に耐震性を強く求められるケースが多く、その実現に建設費用が割かれることもあり、温熱環境上の配慮まで予算が回りにくい。

 窓に影響を与えるもう一つの要素として、共用部の配置形式もある。中規模以上のオフィスビルでは、トイレや湯沸室、階段、エレベーターなどの共用部をひとまとめにするのが一般的だ。

 こうしたスペースを「コア」といい、オフィスビルでは、コアを建物中央に集めたセンターコア形式の建物の人気が高い。多くの面を窓にすることができ、賃料を高く設定できるスペースが増えるからだ。

 しかし、センターコアは窓面積が大きくなることから熱負荷が増えるため、BELS評価の上では不利になる。BELS評価を重視するなら、片側にコアを集めたサイドコアや、両側にコアを配したダブルコア形式なども検討対象になる。

 片コアやダブルコアが有利なのは、全体の窓面積が減って熱負荷が小さくなることに加え、外壁面に太陽光発電パネルの設置が可能になる点だ。★★★★★を狙う場合、「創エネ」が必要になるケースが多いため、屋上のほか壁面をいかに有効に使うかということもテーマになる。