標準入力法とモデル建物法

 非住宅のBELS評価の手法には、これまで見てきた「標準入力法」のほか、「モデル建物法」がある。標準入力法は実際の建物の大きさや形状、室用途を基に算出する方法で、計算にかなりの手間が掛かる。「評価のための資料作成は設備設計者が担当することになるだろうが、通常業務の傍らで作業することを考えると、2週間程度は必要だ」と柳井さんは言う。そのため、実務的には省エネルギー計算に特化した設計事務所などに委託するケースも考えられる。

 一方、モデル建物法は、建物用途ごとに設定したモデル建物に対して、評価対象の建築物の外皮や設備の仕様を適用して評価する簡略法だ。あらかじめ定めたモデル建物の建物形状や室用途構成を基に評価するため、計算がぐっと楽になり、資料作成は2~3日で済む。

 ただし、簡略法であるため、取り扱える省エネルギー手法がさらに制限される。コンパクトな設備設計を行っても評価には反映されない。その結果、星マークは少なくなる傾向がある。

 標準入力法にするかモデル建物法にするかは、省エネルギー設計の深度によって使い分けるのがよさそうだ。「BELSの星にそれほどこだわらない建物や、計画の初期段階における検討にモデル建物法は向く。特に改修設計の効果予測などに活用すると有効だ」と柳井さんはアドバイスする。

日本設計執行役員環境・設備設計群長の柳井崇さん(写真:清水盟貴)
日本設計執行役員環境・設備設計群長の柳井崇さん(写真:清水盟貴)
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<訂正>3ページ、2段落目の柳井崇さんのコメントを訂正しました。(2016年6月21日11時10分)