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 住宅関連の契約やトラブル対応に密接に関わる民法が改正された。3年後に施行する見込みだ。改正民法の影響で気になるのは、民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会(以下、民間連合協定)と中央建設業審議会(中建審)が瑕疵担保期間をどう見直すかだ。

 民間連合協定は既に改正民法に沿って約款の改定を検討する作業を始めており、課題の1つがまさに瑕疵担保期間だという。日経ホームビルダー10月号の特集「重み増す契約書、民法改正の衝撃」では、民間連合協定の顧問弁護士を務める大森文彦弁護士に、約款改正の方向性について聞いた談話を掲載する。

適格消費者団体が削除を申し入れ

 民間連合協定の期間制限は、既存より長くする見直しが必要だ。既存の規定が改正民法より短過ぎることが理由だ。

 民間連合協定の工事請負契約約款の期間制限は、非木造が「引き渡し日から2年」、木造が「同1年」、造作や建築設備などが「引き渡しの時に発注者または監理者が検査して直ちに補修または取り替えを求めなければ受注者は責任を負わない」とする。中建審の民間工事標準請負契約約款も、ほぼ同じ内容だ。 

 これに対して改正民法は「権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から10年の早いほう」に変わった。木造で比べると改正民法が10年、約款が1年となり差が際立つ。

 約款の規定が民法より短過ぎることは、日本弁護士連合会や適格消費者団体などがこれまでも指摘している。

 特に注目したいのは、適格消費者団体の消費者機構日本と消費者支援機構関西が、民間連合協定の約款とほぼ同じ規定を採用していた住宅会社とリフォーム会社に対して、規定の削除を申し入れたことだ。

 適格消費者団体とは、消費者庁の下で消費者契約法や特定商取引法などに違反する約款を扱う事業者に、約款の是正を申し入れる消費者団体だ。国内には16団体が存在する。

適格消費者団体が民間連合協定とほぼ同じ瑕疵担保責任の規定を採用していた住宅会社に対し、規定の削除を申し入れたことを伝える日経ホームビルダーの記事。2015年2月号に掲載した(資料:日経ホームビルダー)
適格消費者団体が民間連合協定とほぼ同じ瑕疵担保責任の規定を採用していた住宅会社に対し、規定の削除を申し入れたことを伝える日経ホームビルダーの記事。2015年2月号に掲載した(資料:日経ホームビルダー)
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 2つの団体はそれぞれ、「木造1年、石造、土造、れんが造、コンクリート造2年」と「建築設備の機器などの瑕疵は、引き渡しの時、発注者が完成確認を行い、直ちにその修補を求めなければ、受注者はその責を負わない」という規定が、消費者契約法10条と8条に違反すると指摘した。

 10条は消費者の利益を一方的に害することを無効とする条項、8条は事業者の損害賠償責任を免除することを無効とする条項だ。申し入れを受けた2社とも、削除に応じている。

 消費者機構日本を支援する高木秀治弁護士は、「これらの条項は民法の規定と比べても短過ぎる。民法の規定よりも短縮する場合は、合理的な理由が要る」と説明する。