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民法改正と同時に品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)も一部が見直された。そこで、品確法に詳しい犬塚浩弁護士に、改正民法に合わせて品確法がどのように見直され、実務にどう影響があるかを聞いた。

1993年に弁護士登録。京橋法律事務所に所属。国土交通省「住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討委員会」委員を務める(写真:日経ホームビルダー)
1993年に弁護士登録。京橋法律事務所に所属。国土交通省「住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討委員会」委員を務める(写真:日経ホームビルダー)
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 民法改正と同時に品確法も改正されたが、実務への影響は小さいとみる。

 今回の品確法の改正は民法改正に合わせた形式的なものだ。国土交通省は現場に混乱を生じさせないとのスタンスを取り、変更箇所を最小限にとどめている。そのため、品確法が適用される新築に関しては、住宅会社がこれまでの対応を大きく変える必要はないと考える。

 従来の考え方を変えていないことを示す1つは、「瑕疵」という用語を残したことだ。ただ、民法には瑕疵がなくなったので、品確法の中に瑕疵の定義を「種類または品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう」と追加している。

 もう1つは、瑕疵担保期間の10年だ。改正民法は契約不適合を知った時から5年、もしくは引き渡しから10年の早い方に変更したが、品確法はそのままだ。

品確法の改正しない箇所

1. 「瑕疵」という用語を残して定義を新たに置く。定義は「種類または品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう」

2. 瑕疵担保期間の10年

請負にも契約解除の請求権

 細部を見ると、改正民法に合わせた変更がいくつかある。

 1つは、請負にこれまで認められていなかった契約解除の請求権が加わることだ。発注者は損害賠償と契約解除の両方を請求できることになる。私はこの変更は、実務にそれほど影響しないとみる。解除が認められるケースがそもそも相当限られるうえ、解除請求を選ぶ発注者も少ないと思われるからだ。

 発注者が解除を選ぶメリットは更地に戻ることだが、そのためには新居から引越しなどの負担が生じる。損害賠償金を得るほうが、融通が利いて負担も少なくなりそうだ。これまでも裁判では、発注者に建て替え相当額を損害賠償金として支払うことが認められているので、判例上も大きく変わる訳ではない。

 2つ目は、これまで認められていなかった請負の報酬減額請求権と売買の代金減額請求権を加わること。「損害賠償だけでなく減額請求まで来るのか」と不安になるかもしれないが、その心配は不要だ。損害賠償と減額はほぼ同じ内容なので、請求が認められても支払う金額が増えることには直結しない。

 3つ目は、住宅会社に損害賠償義務が従来の故意過失を問われない無過失責任から、故意過失がある場合にのみ賠償する過失責任に変わること。住宅会社側にとっては有利な変更に映るが、裁判官が容易に発注者に不利になる判断をするとは考えにくいので、実態はおおむね変わらないと思われる。

 4つ目の変更点は、発注者が損害賠償などを請求する際の規定が、「瑕疵を知った時から1年以内に通知する」に変わること。現行の品確法は「知った時から1年以内に請求」するとなっているので、請求の根拠を具体的に示さなければならなかった。「通知」であれば、ひび割れが発生している、傾いているといった事実だけを伝えればよいので、発注者側の負担はいくらか軽くなる。

 5つ目の変更点は、売買の条文で使われていた「隠れたる瑕疵」の「隠れたる」という言葉が削除されること。新築住宅には影響ないと考えてよい。

品確法の主な変更箇所

1. 請負に契約解除の請求権を追加

2. 請負に報酬減額請求、売買に代金減額請求を追加

3. 損害賠償義務が無過失責任から過失責任に変更

4.「知ってから1年以内に請求」を「知ってから1年以内に通知」に変更

5.「隠れたる瑕疵」を「瑕疵」に変更