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設計紛争の代理人を多数手掛ける日置雅晴弁護士は、設計契約書に途中解除の方法を盛り込むことがトラブル防止として重要だと話す。日置弁護士に設計契約に関する改正民法のポイントとトラブル防止策を聞いた。

日置雅晴弁護士。1982年に弁護士登録。92年に日置雅晴法律事務所、2008年に神楽坂キーストー ン法律事務所を開設。現在、早稲田大学、立教大学、上智大学の法科大学院で講師を務める(写真:日経ホームビルダー)
日置雅晴弁護士。1982年に弁護士登録。92年に日置雅晴法律事務所、2008年に神楽坂キーストー ン法律事務所を開設。現在、早稲田大学、立教大学、上智大学の法科大学院で講師を務める(写真:日経ホームビルダー)
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 建築紛争では、設計業務契約が委任なのか請負なのかが議論されることがある。設計契約書に具体的な規定がない場合だ。裁判官は請負とみて民法の一般的規定を適用するのか、委任とみて適用するのかを決めることになる。

 設計契約書に明確な規定があれば、請負や委任の一般規定が出る幕はなく、契約の解釈として判断がされることになる。そのため、できる限り契約書を具体化しておくことが望ましい。

 委任契約の場合に設計者が知っておきたい改正民法の1つは、委任契約を途中で解除したときに受任者(設計者)が委任者(建て主)に報酬を請求できる条件を緩くしたことだ。

 現行民法は、不可抗力により解除した場合に限っていたが、改正民法では、単に契約を途中解除した場合でも受任者は報酬を請求できるようにした。請求できる設計報酬についても、既に行った履行の割合や建て主が利益を受ける割合に応じると定めた。

 設計に関するもう1つの改正点は、設計報酬の請求期間だ。現行民法は短期消滅時効として3年と定めていたが、改正民法では時効期間が整理され、設計報酬も権利を行使できる時から10年、もしくは権利を行使できることを知った時から5年とした。設計者に損害賠償や契約解除を請求できる期間も同じだ。

 請負契約に関する改正点は、工事請負契約の改正点と同じだ。委任契約との違いは、設計図書が契約内容と適合しない場合、建て主はそれを知ったときから1年以内にその旨を通知することで、図書の追完、報酬の減額、損害賠償、解除を請求できるようになる点だ。