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不動産の売買契約に詳しい江口正夫弁護士が、2020年に予定されている改正民法で注目するのは、買い主からの契約解除が認められやすくなることだ。江口弁護士に改正民法が不動産会社に与えるリスクと対策を聞いた。

江口正夫弁護士。1982年に弁護士登録、88年に海谷・江口・池田法律事務所を開設。東京弁護士会住宅紛争審査委員会委員、日本賃貸住宅管理協会理事を歴任。不動産の売買や賃貸借契約に詳しい(写真:日経ホームビルダー)
江口正夫弁護士。1982年に弁護士登録、88年に海谷・江口・池田法律事務所を開設。東京弁護士会住宅紛争審査委員会委員、日本賃貸住宅管理協会理事を歴任。不動産の売買や賃貸借契約に詳しい(写真:日経ホームビルダー)
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 改正民法で不動産の売り主側に与えるリスクの1つは、買い主からの契約解除が認められやすくなることだ。

 現行民法は売り主に故意過失などがない限り、債務を履行していなくても解除できない。これに対して改正民法は、故意過失の有無にかかわらず、債務を一部履行していても解除が可能になる。不動産に欠陥があり、買い主が修補を求めて売り主が応じなかった場合は、契約の目的が達成できる場合であっても解除が可能になる。

 2つ目のリスクは、従来からある「損害賠償」と「解除」のほかに、「修補」と「代金減額」の請求が認められるようになること。不動産会社で工事部門をもたない場合は、不動産会社は修補を外注しなければならない場合があり得る。

 3つ目のリスクは、隠れた瑕疵の規定が改正民法で削除されること。現行民法では、買い主が注意しても分からないような瑕疵が存在した場合、売り主が瑕疵担保責任を負う。これに対して改正民法では、瑕疵が隠れていようがいまいが、契約不適合に該当すれば債務責任を負う。

 そのため、買い主があらかじめ知っている瑕疵について契約不適合となるか否かについての紛争を防止するうえで、「売り主は責任を負わない」という特約を交わしておくことは有益である。