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息苦しさからの解放

 安藤さんの建築の特徴はもう1つ、自閉的であること。これも規模が小さいほうが印象深い理由だろう。「住吉の長屋」(76年)のファサードには窓が全くなく、玄関ドアも通りからは見えない。

 「光の教会」(89年)もそうだ。その自閉性は空間の密度を高めるが、建築の規模が大きくなると息苦しさを感じさせる。だから、あの手この手で解決していて、例えば米国の「フォートワース現代美術館」(2002年)でコンクリートの箱の周囲をガラスで覆ったのは、視覚的な息苦しさを防ぎ、環境になじませるためだったのだと思う。

池越しに展示室棟を見る。コンクリートの箱をガラスで覆い、その上に大きく張り出した庇をY字形の柱で支えた(写真:磯 達雄)
池越しに展示室棟を見る。コンクリートの箱をガラスで覆い、その上に大きく張り出した庇をY字形の柱で支えた(写真:磯 達雄)
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 アジアでは安藤建築に影響を受けた設計者が打ち放しコンクリートの住宅を数多くつくっている。しかし、原理を分かっておらず、所々に平気で梁が出ている。安藤建築は板だけで構成、つまり壁構造で、梁を出さない。これで進めるから、構造は相当無理なこともしている。(ここまで藤森照信氏談)

 インタビューの続きは書籍「安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言」でご覧いただきたい。なお、書籍の旗振り役であった日経アーキテクチュアの宮沢編集長が、安藤忠雄展に関連して下記の2つのトークイベントに出席する。ぜひ国立新美術館に足を運んでいただきたい。