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 住宅には、換気口や排水管などの貫通部がいくつも生じる。貫通する部材と透湿防水シートの間には隙間が生じるので、防水テープで念入りに塞ぐ必要がある。貫通部の多くは円形なので、隙間を塞ぐには防水テープを何枚も張ることになる。

 ネクストステージ(大阪市)住宅品質推進部部長の木下篤さんは、「上から流れ落ちる水がテープの合わせ目から浸入しないよう下側のテープに上側のテープを重ねるようにして張り上げるのが大原則だが、施工しやすさからか、上から下に張っている現場が多い」と指摘する。

 写真のように、上から下の順で防水テープを張っていると、重ね合わせた部分が水の受け口となる可能性がある。さらにこの事例では、両面テープの保護シートが張られたままになっている。これでは、テープ同士がきちんとくっつかない。

両面テープのカバーを剥がしていなかった例。テープ同士の接着も期待できない(写真:ネクストステージ)
両面テープのカバーを剥がしていなかった例。テープ同士の接着も期待できない(写真:ネクストステージ)
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 防水テープは下から張り上げているが、テープに不陸が生じて雨水がたまりやすくなっている箇所がある。また、テープをカットする長さや重なりが統一されていない(写真:旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ)
防水テープは下から張り上げているが、テープに不陸が生じて雨水がたまりやすくなっている箇所がある。また、テープをカットする長さや重なりが統一されていない(写真:旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ)
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貫通部周辺の防水テープ張りの手順
貫通部周辺の防水テープ張りの手順
(資料:ネクストステージ)
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 こうした防水テープの施工の煩雑さを解消するために、貫通部の隙間を塞ぐための樹脂製の成型品が製品化されている。木下さんによると、「製品の価格が下がったこともあり、使用する現場が増えているが、この成型品の施工不良も少なくない」と指摘する。

 次の写真はその一例だ。本来は透湿防水シートの上から押さえ付けるように成型品を固定するが、ここでは成型品の取り付け後にシートを張っていた。これでは貫通部周辺の隙間はそのまま残ってしまう。

貫通部の隙間を塞ぐプラスチック成型品を取り付けた後に透湿防水シートを施工した例。これではシートと貫通部の間に隙間が生じてしまう(写真:ネクストステージ)
貫通部の隙間を塞ぐプラスチック成型品を取り付けた後に透湿防水シートを施工した例。これではシートと貫通部の間に隙間が生じてしまう(写真:ネクストステージ)
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プラスチック成型品による貫通部処理
プラスチック成型品による貫通部処理
縦張りした防水シートの重なり代に掛かる場合、貫通部の左右の端から150mm以上を確保(資料:ネクストステージ)
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 貫通部の位置が引き起こす問題もある。下の写真は、胴縁の近くに貫通部がある場合の施工不良の例だ。「防水テープを張る際に胴縁を巻き込む格好になり、防水テープと胴縁の間に隙間が生じてしまう」と木下さんは指摘する。

胴縁近くに貫通部を設け、さらにテープの施工が胴縁の施工後になっているため、胴縁を巻き込んだテーピングになっている。胴縁と防水シートの間に隙間が生じて水みちとなりやすい(写真:ネクストステージ)
胴縁近くに貫通部を設け、さらにテープの施工が胴縁の施工後になっているため、胴縁を巻き込んだテーピングになっている。胴縁と防水シートの間に隙間が生じて水みちとなりやすい(写真:ネクストステージ)
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胴縁とテープ処理の施工順序
胴縁とテープ処理の施工順序
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 下の写真も位置に問題がある。透湿防水シートの重ね代の部分に貫通部を設けており、瑕疵保険法人の設計・施工基準にある重ね代90mmを確保できていない。

横張りした防水シートの重ね代の部分に貫通部があり、必要な重ね代を確保できていない。透湿防水シートの施工前に貫通部の位置を現場監督が指示して穴を開けていれば、貫通部を避けて透湿防水シートの重ね代を設けるなどの処置が取れる。貫通部の穴開けを設備工事会社任せにするとこうした問題が生じやすい(写真:ネクストステージ)
横張りした防水シートの重ね代の部分に貫通部があり、必要な重ね代を確保できていない。透湿防水シートの施工前に貫通部の位置を現場監督が指示して穴を開けていれば、貫通部を避けて透湿防水シートの重ね代を設けるなどの処置が取れる。貫通部の穴開けを設備工事会社任せにするとこうした問題が生じやすい(写真:ネクストステージ)
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防水シートの重ね代と貫通部の関係
防水シートの重ね代と貫通部の関係
防水シートの上下の重ね代は90mm以上確保することが定められているため、貫通部が重ね代に来てしまう場合は重ね代を多めに取り、貫通部の上端と下端から90mm以上確保できるように施工する(資料:ネクストステージ)
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 これらの施工不良の背景には、工程管理の不備が指摘されている。