倒壊は粘り強さで防ぐ
大規模地震で「倒壊」を防ぐには、大きく変形しても持ち堪える粘り強さが必要になる。筋かいと構造用合板を使った耐力壁では、後者のほうが一般に粘り強いので、同じ壁量では倒壊までの余裕が出る。工学院大学教授の河合直人さんは、「耐力壁の試験では、構造用合板は30分の1ラジアンまで変形に耐えるが、筋かいはその手前で壊れることが少なくない」という。
構造用合板より粘り強い耐力壁の一つは京都大学防災研究所教授の川瀬博さんらが開発した「壁柱工法」。8分の1まで変形し、40cm変形しても元に戻る。壁倍率は4.1など。一部屋を補強するなど余力に向く。
エヌ・シー・エヌが開発した木質ラーメン構造のSE構法は、柱梁や柱脚の接合部に工夫を施して変形性能と剛性を高める〔写真2〕。JMA神戸の地震波などを7回入力した実大試験では、ラーメン方向は20分の1ラジアンまで変形して元に戻った。耐力壁方向はほとんど変形しなかった。