PR

PVが冬型結露を促進

 土屋さんは独自のプログラムにA邸の状況や断面構成、付近の気象データなどを当てはめ、結露に関係する様々な値の年間推移をシミュレーションした。特に注目したのは、小屋裏を構成する部材の含水率だ。

 小屋裏内の各面の含水率は、1月~4月にかけて高くなった。中でも高いのが北面で、木材の腐朽が進む30%を超える状態が続いている。西妻面とPV下も、PVを設置していない南面より高い値だ〔図2〕。

〔図2〕PV半分ありの小屋裏各面の年間含水率(シミュレーション)
〔図2〕PV半分ありの小屋裏各面の年間含水率(シミュレーション)
東洋大学名誉教授の土屋喬雄さんが、独自のプログラムにA邸の状況や断面構成、付近の気象データなどを当てはめて計算したもの(資料:土屋喬雄さんの計算結果に基づき日経ホームビルダーが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 土屋さんは「調湿性能の高いCFが夏でも湿気を帯びていると聞き、最初は夏型結露を疑った。しかし、夏の含水率はそれほど高くならなかったので、冬に室内で発生する水蒸気が冷えた小屋裏に入って結露する冬型結露だと判断した。防湿シートがないのに小屋裏の湿気が十分排出できていないことが、結露の原因だろう」と話す。

 土屋さんには、PVの設置条件によって含水率がどう変わるかをシミュレーションしてもらった。北面の含水率を見ると、屋根の南全面にPVを設置した場合(PV全面あり)が一番高くなり、南半分に設置した場合(PV半分あり)、PVを載せない場合(PVなし)の順に低くなった。PVなしが一番低いとはいえ、30%を大幅に超えている〔図3〕。

〔図3〕PVの条件別に見た小屋裏北面の年間含水率(シミュレーション)
〔図3〕PVの条件別に見た小屋裏北面の年間含水率(シミュレーション)
含水率の年間最大値は、PV全面が43.5%、PV半分ありが39.6%、PVなしが39.6%。PVなしでも30.0%を大きく上回る時がしばしばある(資料:土屋喬雄さんの計算結果に基づき日経ホームビルダーが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 PVの影響を分析するため、含水率が最も高くなる2月23日~25日の表面温度を示したのが図4、部材の吸放湿を示したのが図5だ。部材の吸放湿は表面温度の影響を受ける。

〔図4〕PVの条件別に見た小屋裏各面の表面温度(シミュレーション)
〔図4〕PVの条件別に見た小屋裏各面の表面温度(シミュレーション)
PV下の表面温度は、夜間放射冷却が緩和されることで露点を上回るのに対して、日中は日陰になることで温度が上がりにくくなるのが特徴だ(資料:土屋喬雄さんの計算結果に基づき日経ホームビルダーが作成)
[画像のクリックで拡大表示]
〔図5〕PV半分ありの小屋裏の冬季の水蒸気の動き
〔図5〕PV半分ありの小屋裏の冬季の水蒸気の動き
※部材の吸放湿は部材の表面温度の影響を受ける(資料:土屋喬雄さんの計算結果に基づき日経ホームビルダーが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 PV半分ありの夜間を見ると、PV下は放射冷却が緩和されるため露点を上回り、水蒸気を放湿する。北面は放射冷却で露点を下回るだけでなく、PV下が放湿した分の水蒸気も吸湿するため結露量が増える。

 日中のPV下は日陰になるので温度がそれほど上がらないが、露点はぎりぎり上回る。日中の北面は露点と変わらないので、夜間発生した結露が乾かない状態が続く。

 一方、PV全面ありは、北面が吸湿する水蒸気がPV半分より多くなるので結露量が増える。PVなしは、夜間、放射冷却によって南北面とも露点を下回り結露するが、日中は温度が高くなるので結露した水が乾きやすくなる。

 土屋さんは「PVなしでも徐々に湿気が溜まり結露した可能性はあるが、PVが設置されたことでPVのない北面が吸湿する水蒸気が多くなり、結露を促進させたと思われる」と分析する。