PR

 熊本県益城町で発生した倒壊や大破といった甚大な住宅被害は、県道28号線と秋津川の間に挟まれたエリアに集中していた。緩く傾斜した台地の低部だ。現行基準に適合していたのに倒壊した住宅Bも、このエリアに建っていた〔写真1〕。

〔写真1〕台地低部で倒壊した住宅B
〔写真1〕台地低部で倒壊した住宅B
住宅Bの敷地内に極小微動アレイを置いて、微動を測定している様子。本震で極めて強い周期1秒帯域の地震動が観測された場所のすぐそばに建つ(写真:地盤ネット総合研究所)
[画像のクリックで拡大表示]

 一方、県道28号線の北側に広がる台地の上部や、南側の秋津川沿いは、被害が比較的少なかった。秋津川沿いに建つ住宅Cも、軽微な被害にとどまっていた〔写真2〕。

〔写真2〕秋津川沿いの被害が軽微な住宅C
〔写真2〕秋津川沿いの被害が軽微な住宅C
住宅Cの前面道路に極小微動アレイを置いて、微動を測定している様子。1000分の9不同沈下したが、構造的な被害は見られなかった(写真:地盤ネット総合研究所)
[画像のクリックで拡大表示]

 台地低部に甚大な被害が集中した原因の1つとして、地盤によって地震動が増幅したことが考えられる。

 地盤ネット総合研究所(東京都中央区)と地震計測機器メーカーの白山工業(東京都府中市)、防災科学技術研究所(防災科研、つくば市)は共同で、住宅Bと住宅Cの表層地盤増幅率と卓越周期を推定した。

 表層地盤増幅率とは、表層地盤(深さ30m)の地震波が、支持層の地震波の何倍に増幅されたかを示す数値だ。ここでは、地盤で常時発生している微動を「極小微動アレイ」で測定し、深さ30mまでの平均S波速度を求めて算出した。

 結果は2棟ともほぼ同じで、表層地盤増幅率が約1.8倍、卓越周期は0.5秒前後となった。新しい木造住宅に被害が生じやすい0.5~1秒の周期帯に入っていた〔図1〕。

〔図1〕住宅Bと住宅Cの表層地盤増幅率と卓越周期
〔図1〕住宅Bと住宅Cの表層地盤増幅率と卓越周期
太字は地盤ネットと白山工業による推定結果。( )の値は防災科学技術研究所のj-SHIS地震ハザードステーションが公開している予測値(資料:取材を基に日経ホームビルダーが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 日本各地の表層地盤増幅率は、防災科研がj-SHIS地震ハザードステーションで公開されている〔図2〕。それでは住宅B周辺は1.34倍、住宅C周辺は1.59倍で、今回の実測に基づく推定値より小さかった。

〔図2〕平均的な表層地盤増幅率の検索画面
〔図2〕平均的な表層地盤増幅率の検索画面
住宅Bと住宅Cの表層地盤増幅率をj-SHIS地震ハザードステーションで検索した画面。250m×250mの範囲内の地盤の平均的な値が示される(赤枠を参照)。微地形図や過去の地震記録、深さ30mまでの平均S波速度などから予測している(資料:j-SHIS地震ハザードステーション)
[画像のクリックで拡大表示]