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奈良県三郷町で発生した擁壁崩落事故の原因調査がまとまった。浮き彫りになったのは「盛り土の脆弱性」と「水の恐ろしさ」。一方で鋼管杭を支持地盤まで打設したことが、大惨事を回避したことが分かった。

 奈良県は2018年2月、三郷町を走る近鉄生駒線沿いの高台にある住宅地の擁壁が崩落した事故に関する最終報告書をまとめた。17年10月の事故発生を受け、県は原因調査を進めていた。

 報告書では、01年の住宅建設当時に造成された地盤がもともと緩い盛り土だったうえに、事故当日の豪雨の影響で地下水位が上昇して水圧が加わったと分析。盛り土で円弧すべりが発生し、擁壁が崩落したと結論付けた〔写真1〕。

〔写真1〕豪雨による地すべりでブロック積み擁壁が崩落
事故から約1カ月後の現場の状況。住宅の基礎や杭がむき出しになっている。この後、鉄道事業者の近鉄が、これ以上の崩落を防ぐために斜面にモルタルを吹き付けるなど、応急対策工事を実施した(撮影:田口 由大)
事故から約1カ月後の現場の状況。住宅の基礎や杭がむき出しになっている。この後、鉄道事業者の近鉄が、これ以上の崩落を防ぐために斜面にモルタルを吹き付けるなど、応急対策工事を実施した(撮影:田口 由大)
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事故前の様子(出所:Googleストリートビューより引用)
事故前の様子(出所:Googleストリートビューより引用)
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 調査の過程で、擁壁が崩落した6棟のうち、5棟の住宅で住宅会社が鋼管杭を支持地盤まで打ち込んでいたことも分かった。鋼管杭を打っていなければ、住宅が流されて大惨事になった可能性もある。杭を施工する重要性を改めて印象付けた。