PR

土中の湿度を自動制御

 2012年に完成したこのビルは、ここ数年増え始めている、ファサード面の緑を内外両面に見せる建築物の先駆けだ。

 鈴木エドワード建築設計事務所ではこのビルを設計する以前から、建物外壁のさらに外側の1~2m離れた位置に「インターフェース」と呼ぶスクリーンを設ける方法を採用してきた。外壁とスクリーンとの間に設けた緩衝地帯が、都市の中で働く人たちの心をなごませるように、との意図からだ。

 この緩衝地帯に緑を置くことは、同事務所がそれまでに設計した建物でもあったが、スクリーン自体を緑で構成するのは、これが初の試みだ。

 導入した緑化システムは、大和リースの「D'sグリーンフレーム」。フランスのメーカー、カネバフロール社が開発したシステムで、大和リースが2012年に輸入を開始した。両面植栽用の専用土壌ユニットと自動灌水(かんすい)設備でシステムを構成する〔写真2〕。

〔写真2〕土壌ユニットの両面に植栽
〔写真2〕土壌ユニットの両面に植栽
厚さ30cm、1m×2mの軽量鉄骨フレームの中に土壌ユニットを入れている(写真:小島 純司)
[画像のクリックで拡大表示]

 「国内メーカーの土壌ユニットには、内外の両面に植栽ができるものがなかった。片面植栽用の土壌ユニット2枚を背中合わせにして取り付けなければならず、それでは重量もコストも膨れ上がってしまう」。鈴木エドワード建築設計事務所の若竹雅宏氏は、D'sグリーンフレームを採用した理由をこう説明する。

 使用した両面植栽用の土壌は、厚さが30cmで、重量は180kg/m2。潅水は、湿度センサーを用いて自動で制御する。

 高さ10mのスクリーンに一律に灌水すると、水分は下部にたまり、上部は逆に乾燥してしまう。そこで、スクリーン面を上下に6つのゾーンに分け、各ゾーンの土壌内に湿度センサーを3カ所ずつ配置。どのゾーンも湿度が常に35~55%の範囲内となるよう、自動でゾーンごとの灌水時間を制御している。これによってスクリーンの上から下まで、ムラのない緑の壁面をつくることができる。