3階から5階建てクラスの中低層建物にも免震技術が広がり始めた。軽い建物では固有周期を延ばすことが難しいとされるが、設計上の工夫や適切な免震部材の選定で課題を克服した例もある。
これまで高層建物を中心に普及してきた免震技術が、中低層建物にも広がり始めている。3階建てから5階建て規模の医療・福祉施設や物流施設などでも、大地震時の事業継続性の視点から免震技術の導入を図る事業者がいる。
三井倉庫ホールディングス(三井倉庫HD)がこの9月に埼玉県加須市に完成させた医療向け物流施設「関東P&Mセンター」もその1つだ〔写真1〕。延べ面積約1万9500m2、鉄筋コンクリート造(RC造)の3階建てで、医薬品や医療機器を専門に扱うのが特徴だ。設計・施工は大林組が手掛けた。場所は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の白岡菖蒲インターチェンジから約4kmの地点。東北自動車道や関越自動車にもほど近い交通の要衝だ。
三井倉庫HD事業開発室の矢田光洋マネージャーは「仮に震度6以上の巨大地震が発生しても、クライアント(荷主)の事業継続性に影響を与えることは許されない。加えて、災害時には医療機器や医薬品の供給が、文字通り被災者の命綱になる。施設の性格上、免震装置の導入は必須条件だった」と話す。