来訪者に「組織の強さ」見せる
メーンスタジオ南側の小さな入り口から、長く緩やかな階段を上ると受付のデスクがある。階段の2階部分には廊下に沿ってカウンターテーブルが続く。カフェテリアが設けてあり、訪問者の何人かはコーヒーを飲みながらくつろいでいた。早朝にはスタッフが朝食を食べながら打ち合わせをする空間になる。
設計の執務室に向かう入り口に、大人の身長ほどに引き伸ばした宇宙基地のパースとその模型が展示してあった。2015年に米航空宇宙局(NASA)が主催した火星有人探査基地のコンセプト設計コンペのデザインだ(参照)。来客が最も多いこの場所には、フォスター事務所がその時期に最も力を入れるプロジェクトの資料などを展示する。
メーンスタジオは1階と2階が設計などの執務室だ。東西に長いオフィスには間仕切り壁がない。巨大な一室空間に多くのスタッフが整然と働くさまは、“組織設計事務所”としての力強さをうかがわせる。
クライアントとの打ち合わせは、オフィスを見渡せる中2階の会議室を使う。テラスのようなこの場所は、クライアントにスタッフの働きぶりを示す見晴らし台の役割を果たす。