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セーヌ川の中州に音楽施設

 シテ・ミュジカルは、立ち見で最大6000人まで観客を収容できる多目的ホール「グランド・サル」と、1150席のクラシック音楽向けホール「オディトリアム」を中心に構える。そのほか室内楽用の小ホールや音楽学校、レストラン、託児所など様々な機能が入る計画だ。建物は地下1階、地上9階建てで、延べ面積は約3万6500m2に及ぶ。

 場所はパリ南西に広がるブーローニュ=ビヤンクール市内で、セーヌ川に浮かぶセガン島に位置する。島の面積は約11万5000m2で、その西側約2万3000m2が建設予定地だ。建設予算として約1億8000万ユーロ(約220億円)を見込む。16年12月の完成、17年4月のオープンを目指している。

 島を含む一帯は、セーヌ川の両岸に住宅街が続き、郊外とパリ市内を結ぶ高速道路や地下鉄などが走る。ブーローニュ=ビヤンクール市が属するオー=ド=セーヌ県は、今後パリ郊外の中心地として期待される地域だ。シテ・ミュジカルにはパリ南西部の玄関口にふさわしいシンボル性が強く求められた。

 「普段はシンボル性を形にする設計はあまりしない。どうやってシンボル性の期待に応えるかは、自分にとってチャレンジだった。ただ変わった彫刻的な形がシンボルになるのではなく、形に意味を持たせたいと考えた」と坂氏は語る。

 島は先端がとがり、対岸から見ると川に浮かぶ大型船のような形をしている。坂氏は音楽が鳴るオディトリアムを鳥かごに見立て、鳥かごが船に乗っているイメージで施設全体のデザインを考案した。コンペでは環境対策も重視されたので、太陽光発電(PV)パネルを船の帆に見立て、ホール側面に沿うように配置した〔図1〕。

〔図1〕色や形でシンボル性を際立たせる
〔図1〕色や形でシンボル性を際立たせる
断面図 オディトリアムの下に2つのホールを配置した(資料:Shigeru Ban Architects Europe-Jean de Gastines Architects)
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