PR

注目プロジェクト 拡大するパリの交通網 橋と駅の一体開発で地域をつなぐ

 フランス国鉄がパリ郊外で「サンドニ・プレイエル駅」の開発を進めている。2015年10月に、国際コンペを経て、設計者が隈研吾氏に決まった〔図3〕。パリが郊外に都市圏を拡大するのに伴って急務となっている、交通網整備の一環だ。

〔図3〕つなぐ役割持つ屋外テラス
〔図3〕つなぐ役割持つ屋外テラス
左図は、新駅の外観イメージ。スロープが駅の周りをらせん状に囲む。橋の設計は、16年末までに固まる予定。右上の写真は、新駅の設計を担当する隈研吾建築都市設計事務所のマチュー・ヴォトリングプロジェクトディレクターと、同・河原田千鶴子ディレクター。右下の図は、駅の中央に配置するアトリウムのイメージ(資料:隈研吾建築都市設計事務所)
[画像のクリックで拡大表示]

 新駅には、5線の地下鉄やRER(首都圏高速鉄道)などが通る。シャルル・ド・ゴール空港と都心を結ぶ、交通の重要な結節点としても期待されている。1日当たりの乗降客数は20万人規模で、工事費は約2億800万ユーロ(約280億円)の見込みだ。開設は23年を目標としている。

 敷地の周辺は、既存の線路で分断され、東西で経済格差があった。そこで隈氏は、東西の地域をつなぐことを考え、新駅を人々が出会い、街と自由に行き来できる建物とした。「周辺との連続性を持つ駅は、今まで見たことがないものになる」と意気込む。

連続性を生むスロープ

 建物は地下4階、地上4階建てで、延べ面積は約4万5000m2。駅以外に、商店やコワーキングスペース、文化施設が入る予定だ。

 さらに建物は、既存線路の上に新設する橋とつなぐ。橋の設計は別の設計者が担う。地面から屋上まで折り重なるように続くスロープ状の屋外テラスを設け、建物の内部と外部、建物と橋を、それぞれ連続的につなぐ役割を持たせる。

 温かみを出すことにもこだわった。建物の中央にアトリウムを設け、トップライトで地下まで陽光が差し込む設計とした。カーテンウオールに用いる木のフレームには、かつて木の線路があった歴史や時の流れを人々に思い起こさせる狙いがある。