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 英国・ケンブリッジ大学建築学科のマイケル・ラマジ博士らは、ロンドン中心部に位置するバービカン・エステートに、80階建ての木造超高層ビルを建てる構想を明らかにした〔図1〕。4月にロンドン市に提案し、木造建築の重要性をアピールした。ビルの高さは300mに及ぶ。

〔図1〕既存住宅の中庭にそびえる
〔図1〕既存住宅の中庭にそびえる
バービカンの住宅の中庭に立つ高層棟。中層棟は中庭を囲む既存住宅の上に計画する(資料: PLP Architecture)
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 バービカン・エステートは、住宅と文化施設で構成するエリアだ。建築設計事務所のPLP Architectureと、土木構造の設計を担うSmith and Wallwork Engineersの協力を得て構想を完成させた。

 提案した施設は、高層棟と中層棟から成る。両者を合わせた延べ面積は全体で約9万3000m2。いずれも木造で、全体の木材使用量は約6万5000m3に達する。高層棟は既存の住宅で囲まれた中庭に建て、中層棟はその既存の住宅の上に新たに5層分を増築する。複合用途の高層棟で約750戸、中層棟で約250戸の住宅供給を見込む。

 PLP Architectureでパートナーを務めるケビン・フラナガン氏は「より小さな生活空間を実現して、新しい職住複合環境を生み出したい」と考える。住戸の大きさを抑え、働く若い世代による居住を想定する。

 木造超高層ビルは、控え壁を用いたメガトラス構造で計画した。中心に20m四方のタワーを据え、その四隅を15m四方の高さの異なる支持タワー4本で囲む〔図2〕。足元は40m四方の太さとなる。下層部は2.5m角の柱と厚さ1.75mの控え壁を、それぞれ集成材とCLT(直交集成板)で構築する。基礎はコンクリートでつくる。

〔図2〕四隅のタワーで支える
〔図2〕四隅のタワーで支える
低層部のメガトラスのイメージ。足元は40m四方となる(資料: Smith and Wallwork Engineers)
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 研究チームは構造の詳細や、建築費を抑制する方法、施工フローの改善策などについても研究を進める。さらに、鉄骨やコンクリート造の建物に適用されている消防法令に適合できるようにしていく。