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建築審査会が長屋の建築確認を取り消した。建築計画の変更を余儀なくされた建て主は、指定確認検査機関に損害賠償を請求。しかし裁判所は、確認検査機関の責任を認めず、賠償請求を棄却した。(日経アーキテクチュア)

 建築確認の取り消しをめぐり、建築主が指定確認検査機関を相手取り、損害賠償を請求する事例が相次いでいる。しかし、現実には、こうした損害賠償請求が認められる例は非常に少ない。

 というのも建築確認の取り消しをめぐる裁判では、法解釈の誤りが争点になることが多いからだ。今回取り上げる裁判でも、確認検査機関の注意義務違反が否定され、損害賠償請求は棄却されている〔図1〕。

〔図1〕建築確認取り消しをめぐり確認検査機関を提訴
〔図1〕建築確認取り消しをめぐり確認検査機関を提訴
原告の建築主は、被告の指定確認検査機関が誤った判断によって建築確認を下ろしたと主張。建設中に、建築審査会に建築確認を取り消され、設計変更などによって損害が生じたとして、被告に債務不履行による損害賠償を提起した(資料:判決文をもとに日経アーキテクチュアが作成)
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 建築確認の取り消しは、設計者や施工者にとっても多額の損害を負う危険性をはらむ。取り消しによって損害を受けた建築主が、その損害を設計者や施工者に求償する可能性もあるからだ。同種の事例に関わったときの注意点を指摘したい。