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ストック改修は楽をして伸びる市場ではない。市場を切り開くうえで、改修を手掛ける設計者に期待されるのは、新たな価値を生む提案だ。やりやすさに流されず、発注者の目線に立って「目標」を明確にすることが肝心だ。

 中古住宅の市場は確実に広がりつつある。不動産流通経営協会(FRK)の推計によると、中古住宅の流通件数は2004年から14年までの10年間で2割以上も増えている〔図1〕。

〔図1〕中古住宅の流通比率は増加傾向
〔図1〕中古住宅の流通比率は増加傾向
FRK(不動産流通経営協会)の中古住宅流通推計量は、「民事・訟務・人権統計年報」(法務省)における建物売買による所有権移転個数をもとに推計した、個人・法人により取得され所有権移転が行なわれた回数。2014年は速報値(資料:不動産流通経営協会)
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 ただし、今のままの増加ペースだと、国が掲げた目標値には遠く及ばない。

 国は2016年3月に閣議決定した新たな住生活基本計画で、中古住宅流通の市場規模を13年の4兆円から25年までに8兆円へと引き上げる目標値を示した。11年に策定した前回の計画では、新築を含めた全流通戸数に占める中古住宅の流通比率をほぼ倍増させるとしていた。

 新築住宅の着工戸数が減少傾向にあるなかで、中古住宅の流通を増やす指標を「比率」から「絶対量」に変えたことは、中古住宅の流通を促す流れが強化されたといえる。

 ただ、中古住宅の市場価値を適切に評価する手法やインスペクションの活用による品質確保といった仕組みが整備されても、魅力的な住宅が提供されなければ市場は動かない。

 野村総合研究所経営革新コンサルティング部の榊原渉・グループマネージャーは、「リフォーム市場が自然に拡大すると考えるのは甘い。人口や世帯数が減るのだから、成り行き任せでは、人が住まない空き家が増えるだけだ」と指摘する。

 そこに設計者の提案が期待されている。