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ロンドン五輪施設の設計に携わった山嵜一也氏が韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪の舞台裏を視察した。注目したのは開閉式会場の五輪スタジアム。自らの体験を踏まえ、「五輪レガシー」としての仮設競技場の在り方を説く。(編集部)

 渡航前に事前調査として資料に当たっていたら、不思議な事実が浮かび上がってきた。平昌五輪にはオリンピック・パークのようなものが2つあり、それぞれに同じような用途のスタジアムがある。どういうことだ?そんな思いを抱きながら、私は極寒の地、平昌に向かった──。

 私は2001年から12年まで英国ロンドンで建築設計に従事していた。10年ほど勤めたアライズ・アンド・モリソンアーキテクツではロンドン五輪招致計画、レガシーマスタープランの作成、グリニッジ馬術会場の設計・監理に携わる機会に恵まれた。

 「レガシー」という言葉は今でこそ、五輪開催における大会後利用における関心から「遺産」と訳される。だが、ロンドン五輪でレガシー計画チームに配属された当時はその意味がしっくりこなかった。プロジェクトに従事し、ロンドン東部の五輪メーン会場が、「エリザベス女王五輪公園」として使い続けられる2030年や2050年の未来の風景を描いていくうちに、レガシーとは「次世代へのたすき」として訳すべきだと思うようになった。

 未来に生きる次世代の歩調に合わせて現役世代が並走し、たすきを渡す。レガシーには未来への想像力が無ければならない。2018年は長野五輪から節目の20年に当たり、2年後には東京五輪も開催される。平昌五輪を機に、改めてレガシーの重要性を検証する必要があると感じた。