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 築120年の古民家を観光拠点となる宿泊施設として再生する「東峰村ゲストハウス設計コンペ」で、納谷建築設計事務所(川崎市)の案が最優秀に選ばれた〔図1〕。発注者の福岡県東峰村が3月19日に公表した。

〔図1〕金属ぶき屋根の上に木製屋根
〔図1〕金属ぶき屋根の上に木製屋根
当選した納谷建築設計事務所案の外観イメージ図。屋根は既存の金属ぶき屋根の上に木製の大屋根を架ける。敷地内にも水田をつくり、棚田を連続させる(資料:納谷建築設計事務所)
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 納谷事務所の納谷新氏は、提案の方向性について、「敷地内に棚田を再生し、棚田の中でご飯を食べて棚田の中で寝るというコンセプト。古民家に大屋根を架け、棚田の風景に溶け込ませる」と説明する。

 コンペの対象は東峰村・竹集落の棚田に立つ古民家「竹集落農家住宅」。約120年前に伝統構法でつくられたが、昭和に入って在来構法で増築されている。増築部分を撤去し、延べ面積約185m2の既存部分をベースにゲストハウスに再生する。

 ゲストハウスは1棟貸しを基本とし、宿泊代は、「高めの設定」を想定する。建物の仕様に関しては、「今後、標準となってくるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様に準じて、環境やランニングコストに配慮」するよう求めた。予定工事金額は7000万円以内。

 選考は2段階方式で、1次審査(過去の実績や作品)には106点の応募があった。審査委員会(委員長:田上健一・九州大学大学院教授)が審査し、2次選考対象者(提案書とヒアリング)は神家昭雄建築研究室、yHa architects、里山建築研究所、納谷建築設計事務所、森田一弥建築設計事務所、大角雄三設計室の6者とした。次点はyHa architects(福岡市、平瀬祐子代表)だった。

大屋根と水田は省エネにも

 納谷事務所案のポイントは既存の金属ぶき屋根を覆う木製の大屋根と、敷地内に設ける棚田。これらは環境面にも貢献する。「機械設備が全てを担う改修方法は、ここではふさわしくないと考えた。大屋根は二重屋根にすることで既存屋根との隙間に空気層をつくり、日射熱を屋内に伝えにくくする〔図2〕。また、延びた軒先は大きなひさし空間となり、夏の日射を遮る。そして棚田に張った水が、打ち水効果により、心地よい風を届ける」(納谷学氏)

〔図2〕既存屋根との間に空気層
〔図2〕既存屋根との間に空気層
環境配慮のイメージ図。新設する大屋根と既存屋根の間に空気層をつくり、日射熱を屋内に伝えにくくする。棚田に張った水は、打ち水効果をもたらす(資料:納谷建築設計事務所)
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 設計期間は今年7月末まで。8月に工事発注を行い、施工期間は19年3月までの予定。