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外からの視線を遮蔽する一方で、敷地内は建物内外で開放感があふれた住宅だ。外階段でつながる中庭と2階テラスを含めて、立体的で変化に富む回遊動線を形成した。1階では丘陵部の谷方向に面した北側にも大開口を設けて、その眺望を生かしている。

 横浜市内の丘陵地に広がる古い住宅地に立つ住宅だ。建て主夫妻と幼い娘2人が暮らす。複雑な形状に見える外観は一見、鉄筋コンクリート(RC)造と見まがうが、木造在来構法の建物だ。柱間910mmの平面モジュールを間崩れなく組み合わせた“正攻法”で設計している。

 設計を手掛けた相坂研介設計アトリエ(東京都千代田区)が提案したのは、隣家や前面道路からの視線をコントロールする一方、敷地内は高い開放性を確保するプランだ。「市街地を見下ろす眺望を生かすとともに、子どもたちが心置きなく走り回れる安全な住空間づくりを目指した」と同アトリエ代表の相坂氏は説明する。

建物内外を巡る立体的な動線

 道路に面する南側外壁は道路面から約4.3mの高さに立ち上げ、1段高い隣地に面する西側は開口部を制限。敷地外からの視線を遮る狙いがある。その一方、1段低い隣地に面した東側は、中庭を囲む形で1・2階居室の主要開口部を配している。2階は、連続する各居室の東側全体をテラスにした。南北両端に位置する外階段で中庭と行き来できる。内外をぐるりと回遊する楽しさを重視した空間構成だ〔写真12〕。

〔写真1〕室内外をぐるりと巡る動線
〔写真1〕室内外をぐるりと巡る動線
2階の南テラスからスロープを介してつながる北テラスを望む。両端の外階段で中庭と行き来でき、室内外を巡る回遊動線を形成している(写真:安川 千秋)
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〔写真2〕プライバシー性を高めた中庭
〔写真2〕プライバシー性を高めた中庭
中庭から南側のガレージを見る。写真右端がリビングの窓。1・2階とも中庭に向けて主要開口部がある。ガレージのシャッターを閉めると、前面道路からの視線をほぼ遮断できる(写真:安川 千秋)
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 1階北側のリビング上部は吹き抜け天井で、そのトップライトや2階テラスに面した大きな採光窓から、日中を通じて光がたっぷり入る。リビング奧には小上がりやダイニング。北側は谷地形に面しており、敷地いっぱいに配した壁2面に連続する大開口を設けた。窓外には宙に浮いているような眺望が広がる〔写真35〕。

〔写真3〕吹き抜けで明るいリビング
〔写真3〕吹き抜けで明るいリビング
リビングの床材はヨーロピアンオーク系の複合フローリング、ダイニングとキッチンは磁器質タイル。左手が畳の小上がり。リビングの上は大きな吹き抜け(写真:安川 千秋)
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〔写真4〕眺望を楽しめる北側大開口
〔写真4〕眺望を楽しめる北側大開口
小上がりからダイニングにかけて、北側の谷地形に向けて壁2面に連続する大開口を設けた(写真:安川 千秋)
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〔写真5〕上層階の家族の気配も感じる
〔写真5〕上層階の家族の気配も感じる
リビングから中庭を見る。正面上方の採光窓を挟んで、2階のテラスや居室にいる家族とも互いの気配を感じ合える(写真:安川 千秋)
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