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 スターツグループの研究機関であるスターツ総合研究所は、AI(人工知能)を活用して賃貸住宅の建築計画と事業計画を自動作成するシステム「LAPLACE(ラプラス)」を開発した。従来は複数の専門家が1週間以上かけていた作業が、約15分でできるようになるという。ベータ版のグループ内利用を5月に開始し、2018年中に提携企業向けのウェブサービスの提供を目指す。現在、特許を出願中だ。

 自社開発したAIで肝となるのは、建設や不動産仲介、金融・コンサルティングなどの事業を多角的に展開するスターツグループが蓄積してきたビッグデータだ。具体的には、直近3年間の建築費データが約1600件、不動産仲介の募集掲載データが2.5年分約2億件、成約データが20年分約31万4000件に上る。

 AIはこれらのデータを解析して判断基準などを抽出し、建築費や賃料、稼働率や賃料の推移などの最適解を算出。協力会社のリソースと連携しつつ、建築計画や事業計画を自動で作成する〔図1〕。

〔図1〕外部リソースと連携
〔図1〕外部リソースと連携
「LAPLACE」のシステム概要。「地図・地番データベース」はNTT空間情報が、「設計エンジン」はコンピュータシステム研究所が、「3次元地盤モデルデータ」は応用地質がそれぞれ提供するサービスや技術だ(資料:スターツ総合研究所)
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設計者は創造的な作業に集中

 主な操作手順は次のとおり。地図データで計画地を選択すると、容積率や建蔽率、用途地域など都市計画法に関わる情報の一部を自動で取得。敷地境界などの条件を選択すると、建築可能な範囲を示す「鳥かご」が現れる。これを基にAIが6パターンの建物ボリュームを提示する〔図2〕。「容積率が高いもの」と「住戸数が多いもの」とをそれぞれ3つずつだ。

〔図2〕建築ボリュームを自動作成
〔図2〕建築ボリュームを自動作成
「LAPLACE」が自動作成した建築ボリュームのイメージ。スターツグループは同システムの社内利用における効果目標として、概算の資料作成に費やす時間を約90%削減し、年間約1億円のコスト削減を掲げる(資料:スターツ総合研究所)
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 さらに、1つのパターンを選んでクリックすれば、建築費の概算や賃料、長期的な修繕計画などの事業計画書が出来上がる。簡易図面も自動生成されるので、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データとして、設計者へ受け渡すことも可能だ。

 スターツ総合研究所テック・デザイン・ラボの光田祐介プロジェクトリーダーは、「AIによって省力化することで、設計者は建物の使い勝手やディテールの検証などにより集中できる」と説明する。