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設計より建物が約30cm低く完成したことは、工事監理者の「重大な契約違反」か――。公共施設の躯体工事の完了後に発覚したミスを巡り、そんな裁判が続いている。近く、2審が大阪高等裁判所で始まる。

 高さ約80cmの塀で駐車場を囲った御坊警察署(和歌山県御坊市)。塀は南海トラフを震源とする巨大地震で懸念される浸水に備えたものだ。水が迫った際は塀の出入り口の防潮扉を立ち上げ、庁舎のエントランスに止水板を取り付ける〔写真1〕。

〔写真1〕30cm低く完成した御坊警察署
〔写真1〕30cm低く完成した御坊警察署
南海トラフ巨大地震による浸水に備え、高さ約80cmの塀で敷地を囲った御坊警察署。出入り口には電動式の防潮扉を設けている(写真:池谷 和浩)
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 2014年4月に正式供用が始まった。外見からはほとんど分からないが、この施設では施工の際、設計図書に記された地盤面(設計GL)を見誤るミスが発生、警察署庁舎は想定より約30cm低く完成した。誤ったレベルにそろえたため、裏手の職員宿舎も約20cm低く完成した。塀はこれらのミスを受け、発注者の和歌山県が施工者に指示して設置したものだ〔図1〕。

〔図1〕地縄張りでミスが発生
〔図1〕地縄張りでミスが発生
敷地配置図にレベル測定方法を描き記した図の一部。前面道路付近(図の右上)をベンチマーク(基準)点に設定したが、レベル墨を打った位置は基準点から約30m離れていて、ミスに気付けなかった(資料:長尾 正剛)
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 県は施設完成前の13年3月、ミスの見逃しは工事監理者の重大な契約違反に当たるとして、工事途中で契約を解除した。工事監理者は13年11月、県の処分は不当だとして約7120万円の損害賠償を求め、1審の和歌山地方裁判所に提訴した。

 和歌山地裁は18年2月27日、原告に重大な契約違反があったとする判決を下した。原告と被告の双方が判決を不服として大阪高等裁判所に控訴、現在も係争中だ。