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 イタリア・ミラノで、世界最大規模のデザインの祭典「ミラノデザインウィーク」が4月17日から22日まで開催された。AGC旭硝子は「音を生むガラス」を使った「Soundscape(サウンドスケープ)」と題した作品を出展。6日間で2万4000人以上の観客が押し寄せた。

 会場には、ミラノ中央駅の高架下にある古いドーム形の倉庫を活用した。萬代基介(まんだいもとすけ)建築設計事務所(東京都千代田区)の萬代基介代表がデザインを手掛けた。

 「音を生むガラス」は、通常のスピーカーでは紙や樹脂でできている振動板に、ガラスを使用した。インスタレーションでは、割れたような不整形のガラス1枚1枚に対して水の音や鳥の音、川のせせらぎの音など、それぞれ異なる音を割り当てた。「音を生むガラス」には指向性があるため、来場者の歩く位置によって聞こえ方が変化することも狙った〔写真1〕。

〔写真1〕荒々しい空間に浮かぶ繊細なガラス
〔写真1〕荒々しい空間に浮かぶ繊細なガラス
AGC旭硝子が出展した「Soundscape(サウンドスケープ)」。会場では24枚の「音を生むガラス」を天井から吊り、11枚を床置きにした。ガラスのサイズは約0.2~1.2m2、約4~24kg(写真:三嶋義秀)
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共振を防ぎ原音を忠実に再現

 一般的に、スピーカーは原音を忠実に再現できるほど良いという考えが根強い。ただ、原音を忠実に再現するには、2つの課題があった。ガラス特有の共振を含まないこと、そして低音から高音まで幅広い音を出せるようにすることだ。

 「音を生むガラス」は2枚のガラスの中間層に、音質を確保しつつも厚さを非常に薄くできる素材を用いた。それによってガラスの共振や、余計なノイズの発生を抑えられた。フラットに近い周波数特性を持つので、音質がクリアなうえ、従来のスピーカーなどに使われるアクリル樹脂板と比べて再生可能な周波数帯域が広いことも分かった。

 開発理由についてAGC旭硝子の技術本部商品開発研究所、秋山順マネージャーは、「振動板を透明で美しいガラスでつくれれば、商品化の可能性が広がるのではないかと考えた」と話す。ディスプレーなどに活用できれば、映画館のような音を体感できるようになると期待を寄せる。