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「避難階」の解釈が争点に

 裁判の争点は3つあった。1つは、建築確認を取り消した都審査会の判断の誤りの有無。残り2つは、都審査会の建築確認取り消しに関する「手続き上の違法性」と「裁量権の範囲の逸脱・乱用」についてだ。

 大規模駐車場の構造や設備を定める都条例32条6号は「避難階以外の階に設ける場合は、避難階または地上に通じる直通階段を設けて避難階段としなければならない」と規定する。駐車場の床レベルと堀坂に面する出入り口の高低差は2.5m。車路は幅員5.8m、長さ約19m、勾配8分の1だ〔写真2〕。

〔写真2〕駐車場と出入り口の高低差は2.5m
〔写真2〕駐車場と出入り口の高低差は2.5m
写真は、マンションの南側道路に面する駐車場出入り口。1階駐車場の床レベルとの高低差は2.5mある。図はマンション1階駐車場の車路の平面図と断面図。車路幅員は5.87m。約19mの車路は勾配が約8分の1の傾斜路となっている(写真:日経アーキテクチュア、資料:判決文別紙に日経アーキテクチュアが加筆)
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 裁判で都は、2.5mの高低差は、建物にすればおよそ1階分に相当すると言及。避難階に該当するには高低差は1m程度までと考えており、「駐車場が車路で地上と連結していても、避難階とはいえない」と主張した。そのうえでマンション駐車場の床面積が1536m2で、床面積500m2以上の大規模駐車場に該当するため、都条例32条6号の適用対象になると指摘。避難階段を備えなければならないと主張した〔図2〕。

〔図2〕避難階以外の大規模駐車場には避難階段が必要
〔図2〕避難階以外の大規模駐車場には避難階段が必要
マンション1階の平面図。駐車場の床面積は1536m2で、東京都安全条例に定める大規模駐車場に該当する。そのため都条例32条6号の適用対象となり、避難階以外に設けられた大規模駐車場として、地上に通じる避難階段を設ける必要があると都審査会は判断して建築確認を取り消した(資料:判決文別紙に日経アーキテクチュアが加筆)
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 一方、建築主側は建築基準法施行令13条1号では避難階を「直接地上に通ずる出入り口のある階」と定めていることから、都条例32条6号に照らして建築確認を取り消した都審査会の処分は、避難階に該当するための要件を不当に付加しているなどと訴えた。

 今回の東京地裁の判決は、都の主張を全面的に認めた。駐車場と道路出入り口がスロープ(傾斜路)によって空間的に連続しているとはいえ、同一階にあることになるものではないと指摘。大規模駐車場は避難階以外の階にあると認められるため、避難階段が必要だとした。そのうえで、スロープは避難階段に当たらず、住宅部分の避難階段も駐車場の避難階段とみなせないなどと判断した。