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部品選定を問題視

 男性が転落した引き違い窓は、鍵を開けた状態でも20cm以上開かないよう、施設側がストッパー部品を設置していた。一般に、窓の追加鍵として販売されているものだ。だが、この部品は窓を完全に閉じた状態を想定した防犯用途のもので、半開きの状態は想定されていなかった。帰宅願望に駆られた男性が窓の一方を動かし、何度もストッパーに打ち付けるうち、部品が外れて窓が完全に開いた。これが転落原因になった。

 男性の家族は、この部品選定を問題視した。鍵がなければ外れない中間止めストッパー部品は他に存在する。また、窓自体を外開き窓として、アームストッパーを付加する方法も考えられる。家族はそうした配慮がなかったことは工作物の設置または保存の瑕疵(かし)(工作物責任)に当たるとして、施設側に慰謝料など約3800万円の支払いを求めて東京地方裁判所へ提訴した。

 一方、この裁判で施設側は次のように反論した。「グループホームの業務は介護サービスで、原則として身体拘束その他の行動制限を行ってはならないとされている。窓を完全に開閉できない状態にすることは一種の身体拘束でもあり、入居者の尊厳の観点から許されない」

 東京地裁は17年2月15日、こうした施設側の反論を退ける判断を下した。窓の開放制限自体は身体拘束に当たらないとしたうえで、窓からの転落防止措置が不十分だった点は「通常有すべき安全性」を欠いていると認定。施設側には工作物責任があるとして、約1080万円の損害賠償を命じた。