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ニーズ重視でビルトイン駐車場

 省エネ性能は、今後設置を予定している14.4kWの蓄電池を含めてオフグリッド化(送電系統に頼らない状態)を実現できるレベルを目指した。同時に間取りやデザインなどのほか、市場ニーズを踏まえて“売れる家”とすることも必須。基本設計から、これらの案配が重要な課題となった。

 性能面とその他の課題とのバランスを象徴する例が、1階に設けたビルトインの駐車スペースだ。外壁の表面積が増えるので、計算上は外皮性能が低下する。だが都市部郊外という立地に照らすと、敷地内に駐車可能なスペースが2台分は欲しいため、1台分をビルトイン形式で設けた。

 1階南西側を玄関とビルトイン駐車スペースが占めるため、日射を生かしたいリビング・ダイニング・キッチン(LDK)は2階に配置〔写真3〕。その他の居室や水まわりは北東に寄せた。2階洋室は子ども室を想定しており、屋根形状なりの傾斜天井を採用〔写真4〕。高窓が北側採光の取得と夏の排熱機能を担う。屋根の傾斜は太陽光発電パネルの設置を折り込んだ角度だ。「各部屋をごく自然に配置した結果の平面・断面構成」(西方代表)

〔写真3〕2階は仕切り抑えて一体化
〔写真3〕2階は仕切り抑えて一体化
外皮の断熱気密性能を高めることにより、2階LDKを中心に間仕切りを極力なくして開放的な空間構成を目指した。天井はスギ板を目透かし張りにして吸音性を高めている(写真:新津 良昌)
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〔写真4〕高窓で北側からも採光
〔写真4〕高窓で北側からも採光
2階洋室。子ども室を想定しており、北側採光と夏期の排気を行う高窓を設けた。2室に区切ることもできる。梁の上は壁で仕切らず、温熱環境を一体化(写真:新津 良昌)
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 外皮の断熱仕様は棟晶に委ねた。例えば外壁は、押し出し法ポリスチレンフォームの充填断熱と外張り断熱による2層構造で構成。開口部はいずれも4層ガラス樹脂サッシだ。齊藤常務がメーカーの開発に関わった経緯から、その試作品を採用した。

 これらの結果、UA値は、国内最高基準であるHEAT20のG2グレードより性能が高い0.19W/m2Kを達成している。

 外皮の断熱気密性能を充実したことにより、屋内空間はできるだけ仕切らず、一体的な空間としている。LDKと階段室を連続させるなどして、視覚的な“抜け感”によって空間の広がりを演出した。

高断熱高気密の弱点にも配慮

 西方代表は、住み心地に直結する部分への配慮も欠かさない。高断熱高気密住宅で指摘されがちな音の反響や過乾燥への対応がその一例だ。

 リビングの天井には吸音効果を期待して、シージングボードの下面にスギ板を目透かしで張った。空調は1階天井裏に熱交換式の第1種換気設備とビルトイン式冷暖房を設置。ダクト経由で屋内全体の空調を担う。熱交換素子にアルミを用いた機種を選んで、浴室も換気経路に組み込み、過乾燥を防いでいる。