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2010年代前半は手探りだった「リノベーションまちづくり」。全国各地、公民双方における担い手となる人材が結び付き、進化を遂げつつある。その実践者が集まる「サミット」の狙いなどを、主催側の清水義次氏と嶋田洋平氏に語り合ってもらった(対談は全3回)。

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 建築物や空間を、単体の敷地、単独の事業でなく、都市・地域経営のなかに位置づけて一定のエリアのために生かし切る。縮退を余儀なくされる経済環境の下、公民の境を取り払い、既存の資産を無駄なく利用して持続可能な場所を営む──。その根幹にある考え方は、より広い領域に応用できる。今回サミットには、全国の実践から浮かび上がったテーマを反映させているという。

 清水義次氏(アフタヌーンソサエティ代表)は、リノベーションスクールの発案者、リノベーションまちづくりの提唱者として、また建築家の嶋田洋平氏(らいおん建築事務所代表)は、リノベーションスクールを企画・運営するリノベリング社(東京都豊島区)の代表、そしてまちなかで事業を実践する複数の家守会社の設立者として、この動きを推進する中核を担ってきた。

清水義次氏(写真左)と嶋田洋平氏(右)(写真:日経アーキテクチュア)
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清水義次氏(写真左)と嶋田洋平氏(右)(写真:日経アーキテクチュア)

●リノベーションまちづくりサミット!!!2017
会期 2017年4月14日(金)~16日(日)
会場 3331 Arts Chiyoda メインギャラリー(東京・外神田)
プログラム詳細は 公式サイト を参照。

──第2回目となる「リノベーションまちづくりサミット」の開催が迫っています。昨年(2016年)、第1回目を開催した狙いから、お聞かせください。

嶋田 最初のリノベーションスクールが北九州市で開催されたのが2011年8月です。2年後に、ほかのまちで展開が始まって、熱海市(静岡県)、そのあと田辺市(和歌山県)と少しずつ北九州以外の都市や地域に広がっていきました。

 その間に年2回開催してきた北九州市では、魚町(小倉北区)を中心に、たくさんのリノベーションのプロジェクトが実現しています。リノベーションスクールの運営に携わる僕らは、スクールを起点とする事業の立ち上げ方、民間自立型のまち会社である「家守会社」の経営の仕方などを実験的に試してきたつもりで、その成果を各地域に展開していった。気づいたら、昨年のサミット時点でスクールの開催実績が30くらいの地域に広がっていたわけです。

嶋田洋平氏のらいおん建築事務所が改修を手掛けたポポラート三番街などが入り、北九州市におけるリノベーションまちづくりの起点となった「中屋ビル」。今回サミットでは、同地での展開に尽力してきた椿辰一郎氏(北九州市役所)が「リノベーションまちづくりと本当の公民連携」(15日)、「リノベーションまちづくりと行政マンの役割」(同)をテーマとするカンファレンスに登壇する(写真:日経アーキテクチュア)
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嶋田洋平氏のらいおん建築事務所が改修を手掛けたポポラート三番街などが入り、北九州市におけるリノベーションまちづくりの起点となった「中屋ビル」。今回サミットでは、同地での展開に尽力してきた椿辰一郎氏(北九州市役所)が「リノベーションまちづくりと本当の公民連携」(15日)、「リノベーションまちづくりと行政マンの役割」(同)をテーマとするカンファレンスに登壇する(写真:日経アーキテクチュア)

2014年3月の「第6回リノベーションスクール@北九州」案件で、15年9月に北九州市小倉北区馬借に開業した「Tanga Table(タンガテーブル)」。神嶽(かんたけ)川沿いにある雑居ビルの4階、約180坪を約6000万円かけて、ゲストハウス+ダイニング(食堂)にリノベーションしている(写真:日経アーキテクチュア)
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2014年3月の「第6回リノベーションスクール@北九州」案件で、15年9月に北九州市小倉北区馬借に開業した「Tanga Table(タンガテーブル)」。神嶽(かんたけ)川沿いにある雑居ビルの4階、約180坪を約6000万円かけて、ゲストハウス+ダイニング(食堂)にリノベーションしている(写真:日経アーキテクチュア)
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2014年3月の「第6回リノベーションスクール@北九州」案件で、15年9月に北九州市小倉北区馬借に開業した「Tanga Table(タンガテーブル)」。神嶽(かんたけ)川沿いにある雑居ビルの4階、約180坪を約6000万円かけて、ゲストハウス+ダイニング(食堂)にリノベーションしている(写真:日経アーキテクチュア)

2014年3月の「第7回リノベーションスクール@北九州」案件で、16年5月に小倉北区香春口に開業した「comichi(コミチ)かわらぐち」。54mの通路に沿い、小料理屋や居酒屋が並んでいた長屋を、カフェ、雑貨店などの並ぶ「子育てママや働く女性が輝ける場所」をコンセプトにリノベーションしている(写真:日経アーキテクチュア)
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2014年3月の「第7回リノベーションスクール@北九州」案件で、16年5月に小倉北区香春口に開業した「comichi(コミチ)かわらぐち」。54mの通路に沿い、小料理屋や居酒屋が並んでいた長屋を、カフェ、雑貨店などの並ぶ「子育てママや働く女性が輝ける場所」をコンセプトにリノベーションしている(写真:日経アーキテクチュア)
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2014年3月の「第7回リノベーションスクール@北九州」案件で、16年5月に小倉北区香春口に開業した「comichi(コミチ)かわらぐち」。54mの通路に沿い、小料理屋や居酒屋が並んでいた長屋を、カフェ、雑貨店などの並ぶ「子育てママや働く女性が輝ける場所」をコンセプトにリノベーションしている(写真:日経アーキテクチュア)

 北九州以外のリノベーションスクールの運営は、僕が代表を務め、清水さんには監査役となっていただいているリノベリングという会社が担っています。そのリノベリングに関わっている人たちや、ユニットマスターと呼ぶスクールで講師を務める人たちは、いろんな地域に行って、いろんな人たちと出会う機会がある。でも、それぞれの地域にいる人たちは、一堂に集まって何かを共有する機会があまりない。それで、とにかく昨年は、まず集まってみたかった(笑)

──思い立ったら、まず行動する。

嶋田 はい。前回は明確な戦略があったわけじゃない。北九州で始まって5年目くらいの節目だったので、リノベーションスクールやリノベーションまちづくりを次のステップに進めるために、まず1回集まろう、と。これまでに現れた成果を、みんなで共有できる大きな場があったら面白いと思い、サミットを企画したわけです。

 清水さんが、サミットのクロージングアクトで「こういう場ができるとは夢にも思っていなかった」と仰っていましたよね。僕もそうで、ここまで広がって、ここまで仲間たちが増えるとは思ってもいなかった。だからサミットは、自分たちの成長の跡を改めて確認する場になりました。

清水 本当です。こんなふうになるとは思ってもいなかったというのが率直な感想ですね。