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 首都圏では大型プロジェクトが目白押しだ。バブル経済崩壊以来、久しぶりに活況を感じている建築関係者も少なくないだろう。しかしその陰で、「人口減」という現象は、地方都市を確実にむしばみ始めている。世帯数が減少へと転じる2020年以降、その影響は大都市でも顕在化する。ある意味で現在の活況は、五輪後の大変革に備えるために、“天が与えたモラトリアム(猶予期間)” ともいえる。

 創刊40周年記念号となる日経アーキテクチュア4月14日号では、特集「五輪後に勝つ! データで読む2026年の建築界」を掲載した。このなかから、記事に盛り込み切れなかった設計組織のリーダーや証券アナリストなどのインタビュー(ほぼ全文)を掲載していく。初回は、国内設計事務所のなかで売り上げ、所員数とも“不動の1位” を守り続ける日建設計・亀井忠夫社長が語る「2026年の日建設計」だ。(以下、亀井社長へのインタビュー)

亀井忠夫日建設計代表取締役社長。1955年生まれ。ペンシルバニア大学大学院、早稲田大学大学院修了後、日建設計入社。クイーンズスクエア横浜や東京スカイツリーなどを担当。2015年1月から現職(写真:日経アーキテクチュア)
亀井忠夫日建設計代表取締役社長。1955年生まれ。ペンシルバニア大学大学院、早稲田大学大学院修了後、日建設計入社。クイーンズスクエア横浜や東京スカイツリーなどを担当。2015年1月から現職(写真:日経アーキテクチュア)
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──日建設計というと「オフィスビル」に強いイメージがありますが、売り上げに占める割合に変化はありますか。

 2013年までは25%前後でした。それが14年は20%、15年は16%と、徐々に減ってきている感じはあります(数字は受託高ベース)。今よりも新築オフィスが増えるということは考えにくい。もちろん、パタッとなくなることはないと思いますが。

 都心では開発がオフィス主体ではなくて、ミクストユーズ(土地利用の複合化)に変わってくる。ニューヨークのマンハッタンなどを見ても、オフィスだけでなくて都心居住が多い。東京もそういう風にミクストユーズに変わっていくのではないかと個人的には感じています。

──10年後のオフィスの割合は?

 数字はちょっと言えないですね。昨年の16%から極端に減ることはないと思いますが、増えることは考えにくい。しばらくはそれくらいで推移するのではないでしょうか。

──ワークプレイスの専門部署、日建ワークプレイス・デザイン・ラボ(NWD)をつくられましたね(関連記事:日建設計がワークプレイスの専門部署)。

 新築は減ってくるから、インテリアだけとか、リノベ―ションとしてのワークプレイスもやっていこうと。我々がワークプレイスと呼んでいるのは、オフィスだけではなくて、工場とか学校とかいろいろな働き方を含めたワークプレイスです。実際のオフィスが減ってくるのであれば、そういう広義な意味でのワークプレイスをやっていこうと。

──オフィスの枠を広げたうえで、川上から川下まで取りに行く、ということですか。

 そうですね。2013年にNAD(NIKKEN ACTIVITY DESIGN lab)という領域横断的な組織をつくりまして、そこもいきなり設計に入るのではなくて、お客さんにとって何が問題なのか洗い出しから共有する。その解決のために、どういうアクティビティが求められているのかを共有する。NADにはいろいろな依頼があって、大きくなりつつあります。今は20人くらい。最初は5人くらいでした。もともと30代の人が自発的にやりたいと言ってきたものです。

──NADは設計もやるのですか。

 設計になったら別のチームがやる。NADはコンサルティングに特化しています。そのコンサルティングのやり方が普通のシンクタンクとは違っていて、NADには設計をやっていた人間がいますから「もの」のことを知っているわけです。アーバンデザインをやっていた人間とか、エンジニアリングの音の専門家とか光の専門家もいます。ハードとしての体験をどうつくればいいかが分かる人間が集まっている。ですから、机上の理論ではなく、本当の出口が見えるコンサルティングができる。モックアップもつくるし、現地調査なんかにも行く。そこが一般のシンクタンクとの大きな違いだと思います。

 NADはこれから伸びていきそうな手応えがある。今までは器をつくりたいと頼まれていたわけです。でも、お客さんは「何をつくるか」とか、「何のために」というところで悩まれているわけです。その段階から関わると、最初はオフィスを考えていたけれど、オフィスはつくらないという話も出てくるかもしれない。NADの仕事はそれでもいいと思っています。